DTMでアニソン風の曲を作る方法|コード進行・ストリングス・構成テンプレート徹底解説

DTM・作曲

はじめに:アニソンは日本のポップスの最前線

アニメソング(アニソン)は、もはや「アニメの付属品」ではなく、日本のポップミュージックの最前線です。YOASOBIの「アイドル」が世界的ヒットを記録し、Adoの「新時代」がストリーミング記録を更新するなど、アニソンは音楽チャートを席巻しています。

アニソンの魅力は、J-Popの洗練されたメロディとコード進行に加え、ドラマチックな展開力と高いアレンジ密度にあります。限られた尺(TV版は約90秒)の中で最大限のインパクトを与える必要があるため、1曲の情報量が非常に高いのが特徴です。

この記事では、アニソンの構造分析からコード進行のパターン、ストリングスアレンジの手法、OP/ED/挿入歌の違いまで、DTMでアニソン風の楽曲を作るための全知識を解説します。

アニソンの音楽的特徴を分析する

特徴1:展開のスピードが速い

一般的なJ-Popが「イントロ→Aメロ→Bメロ→サビ」と段階的に盛り上げるのに対し、アニソンは冒頭からインパクトのあるフレーズを提示することが多いです。TV版では1コーラスの90秒で勝負が決まるため、無駄なパートが極限まで削ぎ落とされています。

特徴2:転調が多い

アニソンでは1曲の中で2〜3回の転調が行われることも珍しくありません。Bメロで短3度上に転調してサビに突入する、ラストサビで半音〜全音上に転調するなど、ドラマチックな効果を狙った転調が特徴的です。

特徴3:楽器の密度が高い

アニソンのアレンジは非常に密度が高く、以下のような多くの楽器パートが同時に鳴っています。

  • ドラム+ベース(リズム隊)
  • エレキギター(リフ+バッキング、時にダブル)
  • アコースティックギター(Aメロの刻みなど)
  • ピアノ/キーボード
  • ストリングス(バイオリン、ビオラ、チェロ)
  • ブラス(サビのインパクト)
  • シンセパッド、シンセリード
  • コーラス(ハーモニー、ユニゾン)

特徴4:メロディの跳躍が大きい

アニソンのメロディは音域が広く、跳躍(インターバルの大きな動き)が頻繁です。1オクターブ以上の跳躍や、サビでの急激な音域拡大がドラマチックな印象を生み出します。

アニソン定番コード進行5選

名称 コード進行(Key: C) 特徴 使用例
王道進行 F → G → Em → Am 切なさと力強さの共存。サビの定番 残酷な天使のテーゼ、紅蓮華
小室進行 Am → F → G → C マイナーから始まる疾走感。ユーロビート感 Get Wild、多くの90年代アニソン
カノン進行 C → G → Am → Em → F → C → F → G 美しく安定した進行。感動的なシーンに God knows…, 君の知らない物語
Just the Two of Us進行 FM7 → E7 → Am7 → Gm7→C7 おしゃれで都会的。近年のトレンド アイドル(YOASOBI)、夜に駆ける
クリシェ下降 Am → AmM7 → Am7 → Am6 ベースラインが半音ずつ下降。不穏さや切なさ 月光花、unravel

ポイント:アニソンでは1曲の中で複数のコード進行を組み合わせるのが一般的です。例えば、AメロにJust the Two of Us進行、Bメロにクリシェ、サビに王道進行という構成が考えられます。

ストリングスアレンジの手法

ストリングスはアニソンのドラマチックさを決定づける最重要パートの一つです。

基本的なストリングス編成

パート 音域 役割 打ち込みのポイント
1st Violin G3〜E6 メロディ、対旋律 ベロシティの強弱で歌わせる
2nd Violin G3〜C6 ハーモニー(3度下など) 1stと3度or6度で動かす
Viola C3〜E5 中域の充実、内声 コードの3度や5度を担当
Cello C2〜A4 ベースライン、低域のメロディ ベースと同じ動きorオクターブ上

アニソンで使われるストリングス手法

  • ユニゾン疾走:全弦楽器が同じフレーズを弾く。圧倒的な迫力。サビの盛り上がりに
  • 対旋律(カウンターメロディ):ボーカルとは異なるメロディをバイオリンが奏でる。Aメロやサビで効果的
  • 刻み(トレモロ/スピッカート):8分や16分で短くリズミカルに弾く。疾走感の演出に
  • ロングトーン(サスティーン):長い持続音でハーモニーを支える。Bメロの静かなパートに
  • ピチカート:弦を指で弾く奏法。軽やかなAメロや可愛らしい楽曲に

おすすめストリングス音源

  • Spitfire BBCSO Discover(無料):BBC交響楽団のサンプル。無料とは思えない品質
  • Spitfire LABS Strings(無料):シンプルだが美しい弦楽器サウンド
  • CineSamples CineStrings:映画音楽品質のストリングス
  • Native Instruments Session Strings:ポップス向けの使いやすいストリングス

OP・ED・挿入歌の違い

種類 尺(TV版) 音楽的特徴 制作のポイント
OP(オープニング) 約90秒 アップテンポ、疾走感、キャッチーなサビ 冒頭4秒でインパクトを。サビの印象を最大化
ED(エンディング) 約90秒 バラード〜ミドルテンポ、余韻重視 視聴後の感情に寄り添う。穏やかなアウトロ
挿入歌 フルサイズ 場面に合わせた多様なスタイル 映像との同期を意識。盛り上がりのタイミング

アニソン風楽曲の構成テンプレート

OP用テンプレート(フルサイズ 約4:30)

  • イントロ(4〜8小節):印象的なギターリフまたはシンセフレーズ
  • Aメロ(8〜16小節):穏やかな始まり。アコギ+ピアノ中心
  • Bメロ(8小節):徐々に楽器を追加。ストリングス、ドラムフィル
  • サビ1(16小節):全楽器投入。ボーカル+ストリングスの対旋律
  • 間奏(4〜8小節):ギターソロまたはシンセソロ
  • Aメロ2(8小節):1番より少しアレンジを変える
  • Bメロ2(8小節):転調の予感を匂わせる
  • サビ2(16小節):1番サビよりアレンジを厚く
  • Cメロ/ブリッジ(8〜16小節):新しいメロディ。感情の頂点
  • 落ちサビ(4〜8小節):楽器を減らしてボーカルを前面に
  • ラストサビ(16小節):半音〜全音上に転調。最大の盛り上がり
  • アウトロ(4〜8小節):イントロのフレーズを回帰させて締め

ED用テンプレート(フルサイズ 約4:00)

  • イントロ(4〜8小節):ピアノまたはアコギの穏やかなフレーズ
  • Aメロ(16小節):語りかけるようなメロディ。少ない楽器数
  • Bメロ(8小節):静かに盛り上がる。コード感を変える
  • サビ(16小節):感情的に歌い上げる。ストリングスが支える
  • 2番は1番と同様の構成
  • ラストサビ:転調はあっても控えめ(半音上が多い)
  • アウトロ(8〜16小節):長めの余韻。フェードアウトもあり

アニソン制作で気をつけるべきポイント

  • TV版の尺を意識する:90秒で1コーラスが完結するように構成を組む
  • イントロは短くインパクト重視:長いイントロはTV版でカットされる可能性がある
  • 歌詞が乗るスペースを確保する:メロディと伴奏が詰まりすぎると歌詞が聴き取れない
  • コーラスワークを丁寧に:サビでのユニゾンコーラスやハーモニーがアニソンらしさを演出
  • BPMは160〜190がアップテンポOP向き:最近は170前後が多い傾向

講師からのアドバイス

野口悟講師

野口 悟
DTM・作曲講師

アニソンは「90秒で勝負を決める」というプレッシャーがあるぶん、構成力とアレンジ力が鍛えられるジャンルです。まずは好きなアニソンを1曲コピーして、コード進行やアレンジの密度を体感してみてください。特にストリングスの対旋律とギターのリフは、アニソンらしさを出す最大のポイントです。レッスンではコード進行の理論からストリングスの打ち込みテクニックまで実践的にお伝えしています。

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