「いい曲ってどうやって作るの?」——DTMを始めて少し経つと、必ずこの問いにぶつかります。コード進行を覚えた、DAWの操作も慣れてきた、でも作る曲がなんとなくチープに聞こえる。この差はどこから来るのか。
プロの作曲家と話すと、「音楽理論をどれだけ知っているか」よりも「何を意識しながら作っているか」の違いが大きいと感じます。この記事では、プロが実際に意識している5つのことを、できるだけ具体的に書いてみます。
① 曲の構成を先に考える
メロディやコードを弾きながら「なんとなく」曲を作り始めるのは気持ちいいんですが、多くの場合Aメロで止まります。なぜかというと、「この曲がどこへ向かうのか」が決まっていないから。
プロは最初に構成の骨格を決めます。「イントロ→Aメロ→Bメロ→サビ→Aメロ→サビ→アウトロ」という形を先に決めて、そこに肉付けしていく感覚です。J-POPなら3〜4分に収まるように、ゲーム音楽なら32小節でループするように——「器」を先に作ることで、行き詰まりが大幅に減ります。
まずはシンプルに、Aメロ8小節・Bメロ8小節・サビ16小節、これだけ決めるところから始めてみてください。
② 繰り返しを恐れない
「同じフレーズを繰り返すのは手抜きでは?」と思う人が多いですが、これは逆です。繰り返しは音楽の基本構造そのものです。
人間の脳は「聴いたことがあるもの」に安心感を覚えます。サビを3回繰り返すことで、リスナーが一緒に歌えるようになる。Aメロのリズムパターンが一定だから、サビの変化が際立つ。繰り返しがあるから「違い」が意味を持つんです。
逆に、毎小節ごとにコードも展開も変わる曲は、聴いていて疲れます。一度気に入ったフレーズは、躊躇せず使い回しましょう。
③ コントラストを意識する
「Aメロがおとなしいからサビが映える」「静かなイントロがあるから最初のドロップが爆発する」——音楽の感動の多くはコントラストから生まれます。
具体的な方法:
- Aメロは音数を少なく、サビで音数を増やす
- Aメロは低音域に集中、サビで高音域のメロディを入れる
- Bメロでテンションを高めて、サビの到達感を作る
「全体的に盛り上がってる曲」は「全体的に盛り上がっていない曲」です。抑えるところがあってはじめて、盛り上がりが機能します。
④ 感情の流れを設計する
プロは「この曲を聴いた人にどう感じてほしいか」を意識して作ります。悲しい曲でも、ただ「暗い」だけではなく、出だしは切なく、サビで少し希望が見えて、最後にまた切なさが戻る——という感情の流れがあります。
自分が作っている曲を聴いて、「どんな気持ちになるか」を言葉で書き出してみてください。「悲しい」「寂しい」「熱い」「疾走感がある」——それが明確なほど、コードやアレンジの選択に一貫性が生まれます。曲の感情的なテーマを決めることは、実は音楽理論を学ぶのと同じくらい重要です。
⑤ やめるタイミングを知る
意外と言われることが少ないですが、「どこで完成にするか」はプロが最も気にすることのひとつです。
作り込みすぎて音が増えすぎた曲は、ごちゃごちゃして聴こえます。音数を減らすことで、残った音が際立つ。「引き算の美学」とよく言われますが、これは本当に正しい。
目安として:「これ以上何かを足しても、曲が良くなる気がしない」と感じたら、完成です。その段階で手を止める勇気を持つことが、プロっぽい仕上がりへの近道です。
作曲の感覚は、こうした「意識の積み重ね」で磨かれていきます。コアミュージックスクールのDTMコースでは、プロ作曲家の古賀稔宏先生が実際の制作現場で意識していることを、丁寧に解説しています。興味のある方はぜひ詳細をチェックしてみてください。



