Adoの歌い方を徹底解説|パワーボイスとダーティトーンの作り方

ボーカル

「Adoみたいに歌いたいけど、あの迫力ある声はどうやって出しているの?」「力いっぱい歌っても、なんか違う…」。そんな悩みを抱えている方は多いのではないでしょうか。Adoの歌声には、単純な「大声」とは異なる複数の発声技術が組み合わさっています。パワーボイスとダーティトーンを軸に、その仕組みを具体的に解説していきます。

結論から言うと、Adoの歌い方の核心は「息の圧力コントロール」と「声帯の意図的な粗さ(ダーティトーン)」の使い分けにあります。どちらか一方だけを真似しようとするとバランスが崩れ、喉を傷めやすくなります。この記事では、川口駅徒歩2分のコアミュージックスクールのボーカル講師として多くの生徒を指導してきた現場知識をもとに、安全かつ効果的な練習法をご紹介します。

Adoの歌声を構成する3つの要素

Adoの楽曲を聴き込んでいくと、彼女の歌声は主に以下の3つの要素で構成されていることがわかります。これを整理せずにただ真似しようとすると、練習の方向性が定まりません。

  • サブトーン(息混じりの柔らかい声):低音域や静かなフレーズで使われる、息をやや多めに混ぜた柔らかい発声
  • パワーボイス(芯のある高出力の声):サビや感情が高まる場面での、声帯をしっかり合わせた力強い発声
  • ダーティトーン(歪んだ声色):怒りや激しさを表現する際に加えられる、意図的な声の粗さ・歪み

例えば「うっせぇわ」(2020年リリース)では、Aメロのサブトーン気味の語りかけるような声から、サビの「うっせぇうっせぇうっせぇわ」における爆発的なパワーボイス、そしてダーティトーンが混入した一部のフレーズと、この3要素が曲の中で巧みに切り替えられています。「新時代」(2022年)「逆夢」(2022年)なども同様の構造を持っています。

パワーボイスの仕組みと作り方

パワーボイスに必要な「声帯閉鎖」とは

パワーボイスの根幹にあるのは「声帯閉鎖(せいたいへいさ)」です。声帯は喉頭(こうとう)内に位置する2枚の粘膜ひだで、これがしっかり合わさって振動することで芯のある強い声が生まれます。声帯閉鎖が弱いと息漏れが多くなり、力を込めても抜けたような声になってしまいます。

声帯閉鎖を鍛える基本エクササイズとして有効なのが「スタッカート発声」です。「ア・ア・ア」と短く切って発声する練習で、毎回声帯をきちんと閉じる筋肉感覚を体に覚えさせます。1日5〜10分、2〜4週間継続することで声帯周辺の筋肉が強化されていきます。

腹圧と声門下圧のコントロール

パワーボイスを安定させるためには、声帯だけでなく「声門下圧(せいもんかあつ)」、つまり声帯の下から押し上げる息の圧力を適切に管理することが重要です。息の圧力が低すぎると声帯が十分に振動せず、高すぎると声帯が疲弊して声が掠れてしまいます。

実践的な練習法は「ハミングからの移行」です。鼻腔に響きを感じながらハミングし(約200〜400Hzの共鳴を意識)、その響きを保ったまま口を開けて「マ行」や「ナ行」の発声に移行します。この流れで声門下圧と声帯閉鎖を同時に整えていくことができます。

練習メニュー 目的 1回の目安時間 効果が出るまでの期間
スタッカート発声 声帯閉鎖の筋肉強化 5〜10分 2〜4週間
ハミングからの移行 声門下圧の安定 10〜15分 3〜6週間
リップロール 声帯・呼吸筋のウォームアップ 3〜5分 すぐに効果あり(準備運動として)
エッジボイス 声帯閉鎖の感覚をつかむ 3〜5分 1〜2週間

奥津 ユキ(ボーカル・ピアノ・サックス・フルート・DTM(Logic)講師)より:

私が実際にレッスンで何度も見てきたのが、「力を込めれば迫力が出る」と思って喉を締め上げてしまうパターンです。パワーボイスを目指すほど、喉だけに力が入って息が止まってしまう生徒さんが多いんですね。パワーボイスの本質は「声帯はしっかり閉じつつ、息の流れは止めない」という相反するような感覚のバランスで、これを体で覚えるまでにはやはりある程度の時間がかかります。焦らず、まずはエッジボイスとリップロールの組み合わせから始めるのが近道だと感じています。

ダーティトーンの仕組みと安全な出し方

ダーティトーンとは何か

ダーティトーン(Dirty Tone)とは、声に意図的な「歪み」や「粗さ」を加えた声色のことです。ロックやR&B、ポップスなど幅広いジャンルで使われる技術で、声帯そのものではなく「声帯の上部(仮声帯・前庭ひだ)」や「披裂喉頭蓋ひだ」など、声帯周辺の構造を使って音を歪ませるのが基本的なアプローチです。

重要なポイントは、「声帯を傷めながら歪ませるのではなく、声帯はできるだけ保護した状態でその上の構造を使って歪みを生み出す」という点です。Adoの「逆夢」や「ギラギラ」(2021年)で聴けるような荒々しい声色も、正しい技術であれば喉への負担を最小限に抑えながら表現できます。

ダーティトーンの段階的な練習法

ダーティトーンは段階を踏んで習得するのが安全です。以下のステップを参考にしてください。

ステップ1:エッジボイスの習得(1〜2週間)
声帯をゆるく閉じて「アー」と低く細い声を出す練習です。声帯が振動している感覚(喉仏のあたりに軽い振動)を確認しながら行います。これが後のダーティトーンの土台になります。

ステップ2:グロウルの感覚をつかむ(2〜4週間)
エッジボイスにわずかに息を足し、「うなり声」のような音を出す練習です。犬が低くうなるときのイメージで、声帯の上部に軽い摩擦感を加えます。このとき、喉に強い痛みや刺激がある場合はすぐに中止してください。

ステップ3:通常の発声へのブレンド(1〜2ヶ月)
習得したグロウル感覚を通常のパワーボイスと組み合わせます。「うっせぇわ」のサビのような、パワーボイスの土台にダーティトーンが乗っている状態を目指します。最初は1フレーズだけに使うなど、使用量をコントロールする練習をしてください。

ダーティトーン習得時の注意点

  • 練習前に必ず5〜10分のウォームアップ(リップロール、ハミング等)を行う
  • 1回の練習セッションでダーティトーン単体を使う時間は15〜20分以内に留める
  • 練習後に喉の痛み・違和感が残る場合は翌日以降に持ち越さず休息を取る
  • 水分補給を怠らない(1時間の練習で200〜400mlの水を目安に)
  • 風邪・花粉症など声帯が炎症を起こしている時期は練習を避ける

Adoの楽曲別・発声技術マッピング

Adoの楽曲によって、使われている発声技術の比重は異なります。自分のレベルに合った楽曲から練習を始めることが、無理のない上達への近道です。

楽曲名 リリース年 主な発声技術 難易度 練習のポイント
うっせぇわ 2020年 パワーボイス+ダーティトーン ★★★☆☆ Aメロの語り口との落差を意識
新時代 2022年 パワーボイス+サブトーン ★★★☆☆ 高音域でのパワーボイスの安定
逆夢 2022年 ダーティトーン(高比率) ★★★★☆ ダーティトーンを安定して持続させる
ギラギラ 2021年 ダーティトーン+広音域 ★★★★☆ 低音〜高音のダーティトーンの使い分け
2021年 ミックスボイス+パワーボイス ★★★★★ 高音域でのミックスボイスへの移行

初めてAdoの曲に挑戦する場合は「うっせぇわ」や「新時代」から入り、発声技術に慣れてきたら「逆夢」「ギラギラ」へとステップアップするのが現実的なルートです。

自宅練習に役立つ機材・環境の整え方

録音環境の重要性

Adoのような複雑な発声技術を習得するには、自分の声を客観的に録音して確認することが不可欠です。耳で聴こえている自分の声と、実際に録音された声には大きなギャップがある(骨伝導によって低音が強調されて聴こえるため)ので、録音なしの練習は「感覚頼み」になりがちです。

おすすめ機材の目安

機材カテゴリ 製品例 価格帯(参考) ポイント
コンデンサーマイク Audio-Technica AT2020 約10,000〜15,000円 声の細部まで拾えるためチェックに最適
ダイナミックマイク SHURE SM58 約12,000〜16,000円 ライブ向きで耐久性が高く扱いやすい
オーディオインターフェース Focusrite Scarlett Solo(第4世代) 約15,000〜20,000円 PCへの録音に必須。レイテンシーが少ない
DAWソフト GarageBand(Mac無料)/Logic Pro 無料〜約32,000円(買い切り) ピッチや波形の視覚確認が可能
ヘッドフォン Sony MDR-7506 約12,000〜15,000円 フラットな特性で声の状態を正確に把握

DTMや宅録に興味が出てきた方には、DTM・作曲講座でLogic Proを使った制作技術も学ぶことができます。ボーカル練習と組み合わせることで、自分の歌を録音・編集する力も身につきます。

防音・吸音の簡易対策

自宅練習で特にダーティトーンやパワーボイスの練習をする場合、音の大きさが問題になることがあります。本格的な防音工事は数十万〜数百万円かかりますが、以下の簡易対策でもある程度の効果が得られます。

  • 吸音パネル(防音シート)の壁貼り:1〜3万円程度
  • 防音カーテンの設置:5,000〜20,000円程度
  • 段ボール製の簡易吸音ボックス(マイクボックス):自作可能、材料費数千円
  • 練習時間帯を昼間(10:00〜18:00)に限定するルーティン管理

奥津 ユキ(ボーカル・ピアノ・サックス・フルート・DTM(Logic)講師)より:

私が現場で感じるのは、「録音して確認する」習慣がある生徒さんとない生徒さんとでは、上達スピードに明らかな差が出るということです。特にダーティトーンは自分の耳では「できてる」と感じていても、録音を聞いてみると喉を締めているだけだったというケースが本当に多いんですよ。GarageBandでもいいので、毎回10〜15分でもいいから録音してセルフチェックする習慣をつけてほしいと、レッスンでは繰り返しお伝えしています。

よくある失敗パターンと改善策

失敗パターン①:喉締めで「なんとなく似てる声」を出そうとする

最もよく見られる失敗です。喉を絞ることでAdoっぽい歪んだ声は出せますが、これは声帯そのものを傷める発声です。喉仏を極端に上げてしまい、高音域での声のコントロールが著しく低下します。改善策は「喉を下げる意識(低喉頭)」を保ちながら発声する練習で、あくびをした直後の喉の開いた状態を基準にするとわかりやすいです。

失敗パターン②:息を止めてパワーを出そうとする

「力強く歌う=息を止める」という誤解から生まれる失敗です。息が止まると声帯に過剰な圧力がかかり、声がつぶれてしまいます。パワーボイスは「息の流れを保ちながら声帯を閉じる」という動作が基本です。横隔膜を使った腹式呼吸が安定しているかを見直してみましょう。

失敗パターン③:ダーティトーンを毎フレーズ使いすぎる

Adoの歌声に憧れて全フレーズにダーティトーンを乗せようとするケースです。実際の楽曲を分析すると、ダーティトーンは感情の頂点や特定のフレーズに使われており、常に使い続けているわけではありません。「うっせぇわ」のサビでも、全音符にダーティトーンが乗っているわけではなく、強調したい音節に絞られています。使いどころを絞ることで表現としての効果も高まります。

失敗パターン④:ウォームアップなしに高強度発声を始める

声帯は筋肉・粘膜組織であり、冷えた状態でいきなり高負荷の発声をすると炎症リスクが高まります。特にダーティトーンの練習は声帯周辺への刺激が大きいため、必ず5〜10分のウォームアップを行う習慣をつけましょう。起床直後の発声練習は特に注意が必要で、起床後1〜2時間は声帯がむくんだ状態にあります。

ボーカルレッスンで習得スピードを上げる

ここまで解説してきたパワーボイスとダーティトーンは、独学でも習得可能ですが、正しい方向性を確認しながら進めるためにはプロの耳が大きな助けになります。特にダーティトーンは「喉を傷めていないか」という安全面のチェックが独学では難しく、感覚が定着するまでの初期段階では講師のフィードバックが重要です。

コアミュージックスクールのボーカル講座では、こうした発声技術を現役ボーカル講師がマンツーマンで指導します。一人ひとりの声の特性や習得状況に合わせた練習メニューを組み立てるため、闇雲に練習するより効率よく技術を積み上げることができます。

また、自分の歌声をDAWで録音・分析する視点も取り入れたい方には、DTM・作曲講座との組み合わせもおすすめです。Logic Proを使ったボーカルの録音・ピッチ補正・ミックスなど、Adoのような楽曲制作に近いスキルも身につけられます。

体験レッスンで確認できること

  • 現在の発声における喉締め・息の止まりの有無
  • パワーボイスに必要な声帯閉鎖の感覚チェック
  • ダーティトーンを安全に始めるための基礎確認
  • 自分の声域・声質に合ったAdoの楽曲選びのアドバイス
  • 自宅練習の具体的なメニュー提案

川口駅徒歩2分という通いやすいロケーションで、現役のプロ講師によるマンツーマンレッスンを受けることができます。まずは無料体験レッスンで、自分の声の現状と課題を確認してみませんか。Adoの歌声に近づくための最初の一歩を、一緒に踏み出しましょう。

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