Vaundyの歌い方を徹底解説|脱力系発声と抑揚のつけ方のコツ

ボーカル

「Vaundyっぽく歌いたいのに、どこかのどが詰まった感じになってしまう」「あの独特のゆったりした声の質感が出せない」——そんな悩みを持つ方は少なくありません。Vaundyの歌声は、一聴するとナチュラルで力を抜いているように聞こえますが、実は声帯のコントロールと呼吸の使い方に明確な技術的特徴があります。

この記事では、Vaundyの発声スタイルを「脱力系発声」「抑揚のつけ方」「音域とリズム感」という切り口から具体的に分析し、実際に練習で取り組める方法をお伝えします。音楽理論的な話だけでなく、レッスン現場でよく見られるつまずきポイントにも触れていくので、独学で行き詰まっている方にも役立てていただけます。

結論から言えば、Vaundyの歌声の核心は「胸・肩・あごを固めないこと」と「フレーズの中で音量をあえて落とすポイントを意図的に作ること」の2点です。この2点を意識するだけで、声の印象はかなり変わります。

Vaundyの声の特徴|音域・音色・ジャンルを整理する

まず前提として、Vaundyの声の客観的な特徴を整理しておきましょう。

音域の実際

Vaundyの歌声は主に中低音域〜中音域を中心に展開されます。楽曲によって差はありますが、男性の話し声に近い音域(概ねC3〜E4あたり)を「地声寄りの発声」で使い、サビや感情の高まる箇所でF4〜A4付近まで張り上げず自然に伸ばすケースが多く見られます。いわゆる「ミックスボイス的な抜け感」を持ちながらも、過度にファルセットに逃げない点が特徴的です。

たとえば「怪獣の花唄」では、Aメロは比較的低めの音域でリラックスした発声を保ちつつ、サビに向かうにつれて音量・声圧が段階的に上がっていきます。「napori」ではさらにリズムの跳ねと発音の丸みが際立ちます。

音色の質感

Vaundyの声には「倍音が適度に含まれた、やや鼻腔に当たる響き」があります。声帯が必要以上に締まっておらず、かつ息が多すぎてスカスカにもなっていない——この「ちょうどいい締め加減」が心地よさの正体です。

声楽的に言えば「声帯の内転が軽度に保たれた状態での発声」に近く、マイクへの乗りを計算したポップス寄りの発声です。クラシックベルカントとは異なり、共鳴腔を広げすぎず、むしろ鼻咽腔(鼻の奥)への共鳴を中心に置いています。

ジャンルと音楽的背景

Vaundyは自身で作詞・作曲・編曲・プロデュースを手がけており、R&B・ネオソウル・シティポップ・ロックを横断するスタイルです。BPM帯は楽曲によって70〜140と幅広く、テンポに応じて発声の「ゆとり感」を使い分けています。歌い方の習得にあたっては、この幅広さを意識しておくと練習曲の選択がしやすくなります。

脱力系発声とは何か|身体の使い方を具体的に理解する

「脱力して歌う」という言葉はよく聞きますが、「全身の力を抜いたらいい」という意味ではありません。歌唱に必要な筋肉は使いつつ、不必要な緊張を除去するのが「脱力」の本質です。

余計な力みが入りやすい3箇所

  • 肩・首まわり:声を出そうと頑張るほど肩が上がりやすく、喉頭(喉仏)が上に引き上げられて声が詰まります。喉頭を低位置で安定させるためには、肩を意図的に下げて鎖骨を広げるイメージが有効です。
  • あご・舌根:あごを前に突き出したり、舌根に力が入ると、共鳴腔の形が変わって声が暗くこもります。Vaundyのような明るめの中音域を出すには、あごを引きすぎず、舌をフラットに保つことが重要です。
  • 腹部の過剰な押し付け:「腹から声を出す」を誤解して腹筋を強く押し込むと、息の量が急増して声が荒くなります。支える筋肉(横隔膜周辺の体幹部)は使いつつも、押し込まず「支える」イメージで留めることがポイントです。

脱力発声の練習ステップ(目安所要時間)

ステップ 内容 目安時間
①ボディチェック 鏡の前で肩・あごの位置を確認、肩甲骨を下げてスタート 2〜3分
②ハミングで共鳴確認 口を閉じて「ん〜」と鼻腔に響かせる。眉間・上唇あたりが振動する感覚を掴む 3〜5分
③「ナ行」スケール練習 「na-na-na」で5音スケールを上下。鼻音+母音で共鳴と脱力を両立させる 5〜10分
④実際のフレーズに適用 練習曲のAメロ1フレーズだけを繰り返す。テンポを80%程度に落として録音確認 10〜15分

この流れを毎日15〜20分続けることで、2〜4週間で声の質感に変化が出始めるケースが多いです。

奥津 ユキ(ボーカル・ピアノ・サックス・フルート・DTM(Logic)講師)より:

私が実際にレッスンで繰り返し見てきたのは、「脱力しようとして全身がぐにゃぐにゃになってしまう」パターンです。脱力とは支えを失うことではなく、”必要な筋肉だけ使う”こと。肩と首を緩めたまま下腹部だけ軽く締めるイメージを掴んでもらうと、Vaundyっぽい柔らかい中音域がすっと出てくる生徒さんが多いです。最初はハミングから始めるのが一番近道だと感じています。

抑揚のつけ方|Vaundyが使うダイナミクスの仕組み

Vaundyの歌の最大の魅力の一つが「抑揚の巧みさ」です。サビで単純に音量を上げるだけでなく、フレーズの中でこまかく音量・声圧・声質を変化させています。

ダイナミクスの基本概念

音楽における「ダイナミクス」とは音量の強弱のことです。一般的なポップス楽曲では、Aメロをpiano(小さく)、サビをforte(大きく)という大枠の設計があります。しかしVaundyの楽曲は、フレーズ単位でのダイナミクス変化がより細かく設計されています。

たとえば「踊り子」では、語りかけるように始まった音量が一つのフレーズの中で単語ごとに波打つように変化します。この「波打つ抑揚」を意図的に作るには、次の3つのテクニックが有効です。

抑揚を生み出す3つのテクニック

1. クレッシェンド&デクレッシェンドをフレーズ内に仕込む

一つのフレーズの中に「ふくらみ→引き」の山を作ります。例えば4小節のフレーズなら、2小節目あたりで音量がピークになり、3〜4小節目にかけて柔らかく収まるようなイメージです。これだけで機械的な一本調子から大きく離れます。

2. 子音を立てて母音を流す

日本語の歌詞で抑揚を出すには、子音(特にk・t・sなど破裂音・摩擦音)をはっきり発音して、続く母音(a・i・u・e・o)を柔らかくのばす方法が効果的です。Vaundyは日本語の発音の中に英語的なニュアンスを混ぜることが多く、これが独特のリズム感と抑揚感につながっています。

3. 意図的な「ブレス」を抑揚の一部として使う

歌の中での息継ぎ(ブレス)を、感情表現の一部として使います。ブレスが聞こえる箇所を作ることで、次のフレーズへの期待感が高まり、結果的に抑揚として機能します。Vaundyの楽曲ではブレスの音がレコーディングにあえて残されているケースがあり、これが「生々しさ」「等身大感」を演出しています。

抑揚チェックリスト(練習前の確認用)

  • □ フレーズのどこで音量を上げ、どこで下げるか事前に決めているか
  • □ 子音の発音が流れていないか(特に行頭の子音)
  • □ ブレスの位置が歌詞の意味の区切りと合っているか
  • □ 録音して聴いたとき「平坦だ」と感じる箇所はないか
  • □ サビ以外のセクションで声が単調になっていないか

Vaundyの歌い方を習得するための練習曲と順番

いきなり難易度の高い曲に挑戦するよりも、段階的に取り組む方が技術が身につきやすいです。以下は習得難易度を考慮した練習曲の目安です。

レベル 楽曲名 ポイント BPM目安
初級 napori 音域が比較的狭い。リズムの跳ねと柔らかい発音の練習に最適 約95
初〜中級 怪獣の花唄 Aメロ→サビへのダイナミクス変化を練習。パワーより表情の変化が鍵 約130
中級 踊り子 囁き声〜中音域の切り替えが細かい。ブレスの使い方の練習に適する 約76
中〜上級 花占い 音域の幅が広め。ミックスボイスへの移行ポイントがある 約112
上級 CHAINSAW BLOOD ロック寄りの声圧とVaundy特有の脱力感が共存。発声の安定が前提 約160

初心者の方は「napori」から始め、ゆっくりしたテンポ(BPMを70〜80程度に落として)で歌詞を丁寧になぞることから始めてみてください。テンポを落とすことで、発声のどこに力みがあるかを自分で確認しやすくなります。

自宅録音で自分の歌を客観的に聴く方法

Vaundyの歌い方を練習する上で、録音して客観的に聴くことは非常に重要です。脱力できているか、抑揚がついているかは、歌いながらでは自分では判断しにくいためです。

録音環境の最低限の整備

自宅録音に必要な環境は、意外とシンプルです。

  • マイク:コンデンサーマイク(例:Audio-Technica AT2020、実売価格1万〜1.5万円台)があると、声の質感の変化が録音に反映されやすい。ダイナミックマイク(SHURE SM58など)でも代用可能。
  • オーディオインターフェース:Focusrite Scarlett Solo(実売2万円前後)などエントリーモデルで十分。スマートフォンのボイスメモでも初期練習には使える。
  • DAW:GarageBandは無料。Logic Pro(月額1,000円〜またはApp Store購入)を使えば、EQやコンプレッサーで自分の声の周波数特性(500Hz〜3kHz帯の中心音域、8kHz以上のエアー感など)を確認できる。

録音後の聴き方ポイント

録音を聴くときは、歌った直後ではなく少し時間を置いてから聴くと客観性が保ちやすいです。確認すべきポイントは以下の通りです。

  • フレーズの頭で声が固くなっていないか(力みのサイン)
  • 語尾が消えすぎていないか、または逆に力で押し込んでいないか
  • 抑揚の波が感じられるか、一本調子になっていないか
  • ブレスが自然な位置に入っているか

なお、DTMや録音技術をより体系的に学びたい場合は、コアミュージックスクールのDTM・作曲講座では、Logic Proを使った実践的なレコーディング手法も扱っています。ボーカル練習と並行して録音スキルを身につけることで、上達スピードが上がります。

奥津 ユキ(ボーカル・ピアノ・サックス・フルート・DTM(Logic)講師)より:

私が現場でよく伝えることの一つが「自分の声を録音して聴くのが怖い人ほど、聴いたときに伸びが速い」ということです。レッスンで生徒さんに録音を聴かせると、「あ、ここ力入ってましたね」と自分でつまずきポイントに気づくことがほとんどです。Logic ProのEQで500Hz〜1kHzを見ると、声の詰まり具合が視覚的にわかるので、感覚だけに頼らない客観的な練習ができるようになります。

よくある失敗パターンと修正アドバイス

Vaundyの歌い方に取り組む方が陥りやすいパターンをまとめました。心当たりがあれば、対処法を試してみてください。

失敗パターンと対処法

失敗パターン 原因 対処法
声が詰まってこもる 喉頭の位置が高い、舌根に力が入っている あくびのときの喉の開き感をイメージしてから発声
サビで声が荒れる・割れる 音量を急に上げようとして息を押し込んでいる 音量より「音程の高さ」と「体幹の支え」を優先する
抑揚がなく平坦に聞こえる 歌詞を読んでいるだけで感情の変化がない 歌詞を「演じる」イメージで、特定の単語を強調して発音する
Vaundyっぽくならない 声質の真似に走っている(模倣が先行) 発声の構造から理解し、フレーズの「引き」を意識する
練習してもすぐ声が疲れる 発声効率が悪く喉に負担がかかっている 練習前のウォームアップ(リップロール等)を5分行う

「Vaundyっぽくならない」と感じる方の多くは、声色の模倣から入っています。しかし実際には、声色よりも「どこで力を抜いて、どこで乗せるか」という発声の設計が重要です。Vaundyの歌声は「力を抜いた結果、あの音色になっている」と理解するのが近道です。

独学の限界とプロ講師に習う意義

ここまで解説した内容は、独学でも取り組めるものです。しかし、発声には「自分では気づけない癖」が存在します。録音で気づける部分もありますが、体の使い方(横隔膜の動き、声帯の閉じ具合、共鳴腔の形)は、聴覚だけでは判断が難しい要素です。

コアミュージックスクールのボーカル講座では、現役講師がマンツーマンで発声を確認し、個々の癖に合わせた具体的なフィードバックを提供しています。「脱力できているつもりだったけど、首が緊張していたと初めて指摘された」という声は、体験レッスン後に多く聞かれます。

また、Vaundyのような作家性の強いアーティストの歌い方は、発声だけでなくリズムの解釈・フレージングの感覚も含めて総合的に習得するのが効果的です。作曲や音楽理論の基礎も並行して学ぶことで、「なぜこのメロディにこの歌い方が合うのか」が理解でき、応用力が格段に上がります。

独学で行き詰まりを感じているなら、一度プロの目で現状を確認してもらうことが、最も効率的な方法の一つです。コアミュージックスクールでは、ボーカルをはじめ9つのコースを開講しており、幅広い音楽的サポートが可能です。

まとめ|Vaundyの歌い方習得のロードマップ

最後に、この記事の内容を整理してまとめます。

  • 基本発声の確立(1〜2週間):ハミング→ナ行スケールで脱力発声の土台を作る
  • 練習曲の選定(初日):まず「napori」からBPMを落として取り組む
  • 抑揚の設計(2〜4週間):フレーズ単位でクレッシェンド・デクレッシェンドを意識的に設定する
  • 録音による客観確認(毎回):スマホでも良いので必ず録音して聴き返す
  • 専門家によるフィードバック(適宜):独学の限界を感じたらプロ講師に相談する

Vaundyの歌声は「難しい技術を駆使している」というよりも、「無駄な力みを排除した結果」として生まれているスタイルです。頑張って真似るのではなく、力を抜く方向に練習の軸を置くことが、最大のコツと言えます。

発声の基礎から丁寧に見直したい方、抑揚のつけ方を具体的にフィードバックしてほしい方は、川口駅から徒歩2分のコアミュージックスクールの無料体験レッスンをぜひご活用ください。現役プロ講師が一人ひとりの声の状態に合わせてマンツーマンで対応します。まずは無料体験レッスンのお申し込みページから、お気軽にご連絡ください。

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