「70歳になってから声がかすれるようになった」「カラオケで昔の歌を歌うと声が出なくて恥ずかしい」「習い事としてボイトレを始めてみたいけど、この年齢からでも遅くないだろうか」——そんな思いを抱えている方は、決して少なくありません。

結論からお伝えすると、70歳からのボイトレは十分に効果があります。声を支える筋肉(声帯筋・呼吸筋・声道周辺の筋群)はトレーニングによって機能を取り戻すことができ、適切な方法であれば安全に続けられます。加齢による声の変化のメカニズムを解説しながら、70代の方が無理なく実践できる練習法と、プロ講師のマンツーマン指導を受けるメリットを具体的にご紹介します。
加齢で声が変わるのはなぜ?仕組みを知ると練習が変わる
声は「息」「声帯」「共鳴腔」の三つの要素が協調して生まれます。加齢とともにこの三つすべてに変化が起きるため、「声がかすれる」「高い音が出ない」「声量が落ちた」などの症状が現れます。
声帯の萎縮と声帯弓(弓状変形)
声帯は粘膜と筋肉(甲状披裂筋)からなる器官です。加齢とともに声帯筋が萎縮し、声帯が閉じ切らなくなる「弓状変形(bow-shaped vocal fold)」が起きやすくなります。これが息漏れのある「かすれ声」や声量低下の主要因です。声帯の振動数は男性で約100〜150Hz、女性で約200〜250Hzが一般的な会話域とされますが、高齢になると振動の安定性が落ち、特に女性では逆に声が低くなる傾向があります。
呼吸筋の衰えと肺活量の低下
声を支える「息の圧力(声門下圧)」を作るのは横隔膜・肋間筋・腹横筋といった呼吸筋群です。70代では20代比で肺活量が20〜30%程度低下するとされており、息が続かず「語尾が消える」「ロングトーンが保てない」という悩みにつながります。
共鳴腔の変化と乾燥
口腔・咽頭・鼻腔といった共鳴腔も、歯の欠損や粘膜の乾燥によって音色に影響します。唾液分泌量の減少(口腔乾燥)は声帯粘膜の振動にも悪影響を及ぼすため、水分補給はトレーニング以前の基本ケアとして非常に重要です。
これらの変化は「仕方がない老化現象」と思われがちですが、実は声帯筋や呼吸筋は適切な負荷をかければ筋肉量・協調性を改善できることが複数の研究で確認されています。だからこそ、科学的に設計された練習が重要なのです。
70代が安全に取り組む「声の若返り」練習法5選
以下の練習はすべて、喉に過度な負担をかけず、段階的に声のコンディションを底上げすることを目的に設計されています。体調が優れない日や風邪気味のときは必ず休むことを前提に、1回15〜20分を目安に取り組んでみてください。
①腹式呼吸エクササイズ(所要時間:5分)
仰向けに寝た状態でお腹に両手を当て、鼻から4秒かけて吸い、口から8秒かけてゆっくり吐く練習から始めます。慣れたら立位で行い、吐く際に「スー」という摩擦音を意識することで声門下圧のコントロール感覚を養えます。毎日続けることで横隔膜の可動域が広がり、声の支えが安定します。
②ハミングによるボイスウォームアップ(所要時間:3〜5分)
「ん〜」と口を閉じて鼻から音を響かせるハミングは、声帯にかかる負荷が低く、高齢者の発声練習として特に有効です。鼻の頭や頬骨のあたりに振動を感じながら、ド(C4≒262Hz)から始めて半音ずつ上下に動かします。この「共鳴点を探す」感覚がつかめると、声帯への無駄な力みが抜け、かすれが減る方が多くいます。
③リップトリル(リップロール)(所要時間:3分)
唇を軽く閉じた状態で息を通し、「ブルルル…」と唇を震わせながら音程を動かす練習です。この動作は声帯のウォームアップとして演奏前に用いるプロ歌手も多く、喉の緊張を和らげる効果があります。音程変化に合わせて滑らかに繋げる「グライド(ポルタメント)」で行うと、声区(胸声・頭声)の切り替えをスムーズにする訓練にもなります。
④母音発声ストレッチ(所要時間:3〜5分)
「ア・イ・ウ・エ・オ」を口を大きく動かしてゆっくり発音する練習は、声道の形状を多様に変化させ、口腔周辺の筋肉(口輪筋・頬筋・舌骨上筋群)を活性化します。各母音を5秒ずつ伸ばしながら行い、鏡で口の形を確認すると効果的です。発音の明瞭さが改善されると、日常会話でも聞き返されることが少なくなります。
⑤好きな曲を使ったフレーズ練習(所要時間:5〜10分)
技術練習だけでなく、実際の曲を歌うことがモチベーションの維持に直結します。70代の方に親しみのある楽曲としては、美空ひばりの「川の流れのように」(原曲キーBb)、坂本九の「上を向いて歩こう」(原曲キーC)、加山雄三の「君といつまでも」などが声域的にも取り組みやすいレパートリーです。自分のキーに合わせてカラオケのキー調整機能(通常±5〜6キー)を活用しながら、焦らず少しずつ歌える曲を増やしていきましょう。
奥津 ユキ(ボーカル・ピアノ・サックス・フルート・DTM(Logic)講師)より:
私が実際にレッスンで70代の生徒さんと向き合うとき、まず驚かれるのがリップトリルです。「こんなことが練習になるの?」と笑いながらやってみると、その後に声が出したとき「あれ、さっきより楽!」という反応が本当に多いんです。無理に声を出そうとして喉を締めているケースがほとんどなので、まずその力みを取ることが最初のステップ。難しい技術より「脱力」が先という順番を大切にしています。
70代からのボイトレで「やってはいけない」こと
正しいアプローチと同じくらい重要なのが、避けるべき練習の把握です。加齢によって声帯粘膜は薄く乾燥しやすくなっており、無理な発声は声帯結節やポリープのリスクを高める可能性があります。
| やってはいけないこと | 理由 | 代替アプローチ |
|---|---|---|
| 声が枯れた状態で練習を続ける | 声帯粘膜に炎症があるサイン。悪化のリスク大 | 完全休声+水分補給で回復を待つ |
| いきなり大音量で長時間歌う | 声帯と呼吸筋への負荷が許容量を超えやすい | 15〜20分のウォームアップ付き短時間練習 |
| 自分の声域より2〜3キー以上高い曲を無理に歌う | 声帯の緊張が過剰になり炎症の原因になる | カラオケのキー調整でちょうど良い高さに合わせる |
| 喉が乾いた状態での発声練習 | 粘膜保護が失われ声帯への摩擦が増大する | 常温水を練習前後にコップ1杯補給する |
| 痛みや違和感を我慢しながら続ける | 重大な声帯疾患のサインを見逃すリスクがある | 耳鼻咽喉科での内視鏡チェックを優先する |
特に「声が枯れたまま練習を続ける」は最も多いミスです。若い頃と違い、70代では回復に時間がかかるため、休むことも練習の一部と考える意識の転換が大切です。
独学と教室の比較|70代がプロ講師のレッスンを選ぶ理由
「動画を見ながら自分で練習すればいいのでは?」と思う方もいるかもしれません。独学にもメリットはありますが、70代のボイトレでは特に講師の目(耳)によるフィードバックが重要になります。
| 比較項目 | 独学 | プロ講師によるマンツーマン |
|---|---|---|
| 悪い発声習慣の修正 | 自分では気づきにくい | 即座に指摘・修正できる |
| 声域・体調に合った負荷設定 | 過不足が生じやすい | その日の状態に合わせて柔軟に調整 |
| 怪我(声帯炎症等)のリスク管理 | 高い(適正負荷が判断しにくい) | 低い(講師が危険なサインを見極める) |
| モチベーション維持 | 孤独になりやすく継続が難しい | 定期的な場があることで継続しやすい |
| 費用の目安(月額) | 教材費のみ(0〜3,000円程度) | 月2〜4回:8,000〜20,000円前後 |
| レパートリーの広げ方 | 自己流になりがち | 好みに合わせた選曲でアドバイスが受けられる |
70代のボイトレにおける最大のリスクは「間違ったフォームの固定化」と「声帯への過負荷」です。特に高齢になってから歌の習慣がなかった方は、喉に力を入れた「力任せの発声」のクセがついていることが多く、これを独学で修正するのは困難です。プロ講師のマンツーマン指導であれば、その方の声の状態と癖を見ながらオーダーメイドのアプローチが取れます。
コアミュージックスクールのボーカル講座では、発声の基礎から好きな曲を歌うところまで、ひとつながりのカリキュラムで進めることができます。詳細はボーカル講座のページでご確認ください。
どんな変化が期待できる?3ヶ月・6ヶ月・1年の目安
「どれくらい続ければ効果が出るか」は多くの方が気にされる点です。個人差はありますが、週1回の講師レッスン+自宅での10〜15分の自主練習を続けた場合の一般的な目安をご紹介します。
〜3ヶ月:声のコンディションが安定してくる
ハミングやリップトリルのウォームアップで声が出やすくなる実感が生まれ始めます。朝一番の「声が出にくい感覚」が軽減したというご報告をいただくことが多い時期です。腹式呼吸が定着し、声量の波が小さくなります。
〜6ヶ月:音域と表現の幅が広がる
これまで苦手だった音域(多くの場合、女性ではF4〜A4、男性ではD3〜G3あたり)への対応力が上がります。好きな曲を通して歌いきれる体力(声の持久力)も向上します。カラオケで歌える曲が増え、「楽しい」という感覚がモチベーションのエンジンになってくる時期です。
〜1年:声が生活の中に根づく
日常会話での声量・明瞭さが改善され、家族や友人から「声が若くなったね」と言われたという方が実際にいます。声帯筋のコンディションが底上げされ、かすれや息漏れが以前と比べて明らかに減ります。また、発声という意識的な行為が呼吸や姿勢の改善にも波及することが少なくありません。
奥津 ユキ(ボーカル・ピアノ・サックス・フルート・DTM(Logic)講師)より:
私が現場でいちばん嬉しいのは、半年くらい経ったときに「孫に歌を聴かせたら『おばあちゃんの声、変わった』って言われました」とご報告いただく瞬間です。声の変化って本人より周りが先に気づくことが多くて、その一言がまた次のモチベーションになるんですよね。続けることへのハードルが最初は高く感じるかもしれませんが、変化は必ず出てきます。
コアミュージックスクールで70代のボイトレを始める前に知っておきたいこと
川口駅西口から徒歩2分のコアミュージックスクールでは、ボーカルを含む全9コースのレッスンを提供しています。70代の方が安心してスタートできる環境として、以下の点が特徴として挙げられます。
マンツーマン指導だから自分のペースで進められる
グループレッスンと違い、その日の体調や声の状態を見ながらレッスン内容をその場で調整できます。「今日は少し声がかすれている」「先週より調子がいい」——そうした日々の変化に対応できるのがマンツーマンの強みです。
目標は「うまくなる」だけじゃなくていい
「孫の前で一曲歌いたい」「カラオケで昔好きだった曲をまた歌いたい」「声を出すことで毎日を元気に過ごしたい」——目標の大小は問いません。むしろ、小さくて具体的な目標があるほどレッスンはうまく進みます。
無料体験レッスンで確認できること
初めてボイトレ教室に通う方にとって、「自分の声を人に聴かせるのは恥ずかしい」という心理的ハードルは大きいものです。無料体験レッスンでは、現役講師が実際に声を聴きながら現在の声の状態と課題を整理し、どんな練習が自分に向いているかをその場で確認できます。入会を前提にしない体験なので、まず話を聞くだけでも構いません。
ボイトレ以外のコースとの組み合わせも可能
コアミュージックスクールではボーカルのほかにも、ピアノ・ギター・DTMなど多様なコースが揃っています。たとえば「歌いながらピアノも少し弾けるようになりたい」という方には、複数コースの組み合わせも検討できます。まずはスクールのトップページから全コースの概要をご確認ください。
まとめ|70歳からのボイトレは「遅すぎる」ことはない
声の変化は加齢による自然なプロセスですが、声帯筋や呼吸筋は何歳からでも鍛えることができます。大切なのは、自分の声の状態に合った正しいアプローチを選ぶことです。
- 声のかすれや息漏れは「声帯弓状変形」や「呼吸筋の衰え」が主因
- 腹式呼吸・ハミング・リップトリルなど、喉に優しい練習から始める
- 声が枯れているときや痛みがあるときは必ず休む
- プロ講師のマンツーマン指導で、自分の状態に合ったペースで進める
- 3ヶ月〜1年を目安に継続することで、声の若返りを実感できる
「始めるのに遅すぎる年齢はない」——これはボイトレに関しても当てはまる言葉です。70代だからこそ、丁寧に、楽しみながら、自分の声と向き合う時間を持つことに意義があります。
川口駅西口から徒歩2分、現役プロ講師によるマンツーマン指導のコアミュージックスクールでは、随時無料体験レッスンを受け付けています。「まず話だけ聞いてみたい」という方のお問い合わせも歓迎していますので、どうぞお気軽にご連絡ください。


