「ボーカルがいなくても曲を完成させたい」「AIに歌ってもらいたいけど、費用をかけずに試したい」——そんな悩みを持つDTMユーザーにとって、VOICEVOXは現時点でもっとも手軽に使える無料の歌声合成ツールのひとつです。完全無料でダウンロードでき、ずんだもんや四国めたんなど個性豊かなキャラクターが歌声を提供してくれます。
この記事では、VOICEVOXを使って実際に歌を歌わせるまでの手順を、DTM初心者の方でもわかるように丁寧に解説します。単純なしゃべり声合成ではなく、「歌わせる」ことに特化した操作方法と、DAW(CubaseやStudio One等)との連携方法まで網羅しているので、ぜひ最後まで読んでみてください。
VOICEVOXとは?無料で使える歌声合成ソフトの基本
VOICEVOXは、ヒホ氏が開発・公開しているオープンソースの音声合成エンジンです。もともとはテキスト読み上げ(TTS)ソフトとして広まりましたが、バージョンアップとともに「ハミング機能」や「歌声合成(VOICEVOX Song機能)」が追加され、現在は本格的に歌わせることができるようになっています。
2024年時点でのVOICEVOXの主な特徴は以下の通りです。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 価格 | 完全無料(商用利用は各キャラクターの利用規約による) |
| 対応OS | Windows / macOS / Linux |
| 推奨スペック | RAM 4GB以上、GPU非必須(あれば処理が速い) |
| 主なキャラクター数 | 20体以上(ずんだもん・四国めたん・春日部つむぎ等) |
| 歌声合成機能 | VOICEVOX Song(ピアノロール入力で音程・歌詞を指定) |
| 出力形式 | WAVファイル(44.1kHz / 24bit) |
出力されるWAVファイルはサンプリングレート44,100Hz・24bitという品質で、そのままDAWに読み込むのに十分なスペックです。商用利用を考えている場合は各キャラクターの利用規約を必ず確認してください。ずんだもんの場合、一定条件のもとで商用利用が認められています。
VOICEVOXで歌わせるための準備:インストールから初期設定まで
ステップ1:ダウンロードとインストール
公式サイト(voicevox.hiroshiba.jp)からご自身のOSに合ったインストーラーをダウンロードします。ファイルサイズはおよそ1〜2GB程度で、AI音声合成エンジンが含まれているためやや大きめです。インストール自体は5〜10分程度で完了します。
- 公式サイトから「VOICEVOX」をダウンロード
- インストーラーを起動し、指示に従ってインストール
- 初回起動時に利用規約を確認・同意
- メイン画面が表示されればインストール完了
ステップ2:Songモードへの切り替え
VOICEVOXを起動するとデフォルトでは「トーク」モードになっています。歌わせるためには画面上部の切り替えタブから「ソング」モードを選択してください。このSongモードがVOICEVOXの歌声合成専用のインターフェースです。
Songモードでは、以下の3要素を入力して歌声を生成します。
- 音程(ノート):ピアノロール上にノートを配置
- 歌詞:各ノートにひらがな・カタカナで歌詞を入力
- テンポ(BPM):楽曲のテンポを設定(デフォルト120BPM)
実際に歌わせてみよう:ピアノロール入力の操作手順
基本的なノートの入力方法
Songモードのピアノロールは、一般的なDAWのピアノロールとほぼ同じ操作感です。マウスの左クリックでノートを配置し、右クリックで削除できます。ノートの長さはドラッグで調整します。
- ピアノロール上の任意の位置を左クリックしてノートを配置
- 配置したノートをダブルクリックすると歌詞入力フィールドが表示される
- ひらがなで歌詞を入力(例:「あ」「い」「う」など1音節ずつ)
- 複数のノートを並べて歌詞を入力し終えたら「合成」ボタンを押す
- 数秒〜十数秒で歌声が生成され、再生ボタンで確認できる
歌詞入力の注意点
VOICEVOXの歌詞入力は基本的に1ノートあたり1音節(モーラ)で対応します。たとえば「さくら」であれば「さ」「く」「ら」の3つのノートに分けて入力します。「きゃ」「しゅ」「ちょ」などの拗音も1モーラとして扱われるので、1ノートで入力してください。
また、歌詞には「ん」(撥音)や「っ」(促音)も入力できますが、音が短すぎると不自然になるため、ノートの長さを最低でも四分音符の半分(8分音符)以上に設定するのがおすすめです。
古賀 稔宏(ギター・ウクレレ・DTM(Cubase)・作曲技法・音楽理論 講師)より:
私が実際にレッスンでVOICEVOXのSongモードを紹介するとき、まず「歌詞は1ノート1モーラ」というルールを体で覚えてもらうことから始めます。DAWのピアノロール操作に慣れている生徒さんでも、最初は「ん」や「っ」の扱いに戸惑うことが多いです。短い音符に促音を当てて試してみると、すぐに感覚がつかめますので、最初から完璧を目指さず、短いフレーズで何度も試すことをおすすめしています。
テンポとキーの設定
Songモードの上部にBPM設定欄があります。制作している楽曲のテンポに合わせて数値を入力してください。一般的なJ-POPであれば80〜140BPMが多く使われます。キー(調性)の設定はVOICEVOX内では行わず、DAWに読み込んだあとでピッチ補正やキー変換を行う形が一般的です。
DAW(Cubase・Studio One等)との連携方法
VOICEVOXで生成した歌声をDAWに組み込む方法は大きく2つあります。
方法①:WAVファイルをエクスポートしてDAWに読み込む
もっともシンプルな方法です。VOICEVOXのSongモードで歌声を合成したあと、「書き出し」ボタン(エクスポート)からWAVファイルを保存します。出力されるWAVは44.1kHz / 24bitで、CubaseやStudio One、Logic Pro、GarageBandなどほぼすべてのDAWに読み込めます。
- Songモードで歌声を完成させる
- 「書き出し」ボタンをクリック
- 保存先を指定してWAVファイルを書き出す
- DAWのプロジェクトに読み込み、オーディオトラックに配置する
- DAW側でEQ・リバーブ・コンプレッサーをかけて音を整える
Cubaseを使っている場合、読み込んだWAVをAudioWarpやVariAudioで微調整することも可能です。生成された歌声のピッチが少しズレている場合は、VariAudioのピッチ補正(±100cent単位で調整可能)で修正すると自然な仕上がりになります。
方法②:リアルタイムで音声を取り込む(ループバック録音)
一部のWindowsユーザーはステレオミックス機能や仮想オーディオデバイス(VB-Audio Virtual Cableなど)を使ってVOICEVOXの再生音をDAWに直接録音する方法も使います。ただし、この方法はセットアップがやや複雑なため、初心者には方法①のWAVエクスポートを強く推奨します。
DAW側でのボーカルミックスの基本
VOICEVOXの歌声をDAWに取り込んだあと、最低限かけておきたいエフェクトを整理しておきます。
| エフェクト | 目的 | 目安パラメータ |
|---|---|---|
| EQ(イコライザー) | こもりや刺さりを補正 | 200〜300Hz付近をやや削る、6〜8kHzを少し持ち上げる |
| コンプレッサー | 音量の均一化 | Ratio 3:1〜4:1、Attack 10ms程度 |
| リバーブ | 空間感の付与 | Wet 15〜25%、Room〜Hall系 |
| ピッチ補正 | 音程の微調整 | Cubase VariAudio等で手動補正 |
AIボーカルは人間の歌声と比べてダイナミクス(音量の強弱)が均一になりがちなので、コンプレッサーをかけすぎないよう注意してください。むしろ、手動でボリュームオートメーションを描いてダイナミクスを演出するほうが自然な仕上がりになります。
古賀 稔宏(ギター・ウクレレ・DTM(Cubase)・作曲技法・音楽理論 講師)より:
私が現場でVOICEVOX歌声をCubaseに取り込む際、必ずVariAudioで音程を確認するようにしています。合成音声はピッチが機械的に正確なように見えて、実は前後の音との繋がりでわずかにズレが気になるポイントが出てきます。200〜400Hzあたりのローミッドをやや引き算するEQ処理を加えると、オケに馴染みやすくなることが多いです。生徒さんにも「まずEQとVariAudioで整えてからリバーブをかける」という順番を徹底してもらっています。
クオリティを上げるための応用テクニック
ビブラートと抑揚の調整
VOICEVOXのSongモードには、ノートごとにピッチカーブを手書きで描く機能があります。この機能を使うと、サビの伸ばしの部分にビブラートをかけたり、フレーズの入りを少し低くして自然な歌い出しを再現したりできます。
ビブラートをかける場合は、ノートの後半部分のピッチカーブを波状に描くのが基本です。波の幅は±50cent前後、速さは毎秒5〜7回程度(約5〜7Hz)が自然なビブラートに近い値です。これはオペラ歌手のビブラートが約5〜6Hzであることと近い範囲で、人間の歌声に近い表現ができます。
キャラクターの使い分け
VOICEVOXには複数のキャラクターが用意されており、それぞれ声域と声質が異なります。曲のジャンルや雰囲気に応じて使い分けると表現の幅が広がります。
- ずんだもん:明るくポップな声質。子供向け・ゆるいコンテンツに相性がよい
- 四国めたん:クリアで落ち着いた声質。バラードや叙情的な曲に合いやすい
- 春日部つむぎ:元気でエネルギッシュな声質。アップテンポなポップスに向く
- 波音リツ:ハスキーで個性的な声質。ロック系・クールなトラックに合う
複数キャラクターを重ねてコーラスを作る
同じメロディラインを異なるキャラクターで別々に書き出し、DAWで重ねることでコーラスパートを作ることができます。2〜3種類のキャラクターをわずかにデチューン(±10〜20cent程度のピッチシフト)してパンニングを左右に振ると、厚みのあるコーラス感を演出できます。
コアミュージックスクールのDTM・作曲講座では、このような歌声合成とDAWを組み合わせたトラックメイキングの手法も実際のレッスンで扱っています。ソフトの操作だけでなく、音楽的なセンスとして「どう積み重ねれば楽曲として成立するか」という視点も一緒に学ぶことができます。
VOICEVOXの注意点と他の歌声合成ソフトとの比較
VOICEVOXの苦手なこと
VOICEVOXはすぐれたツールですが、いくつかの制限も把握しておくことが大切です。
- 英語歌詞への対応が限定的:基本的に日本語のみ。英語を歌わせるには工夫が必要
- 感情表現の細かい制御が難しい:人間の歌手のような自然な抑揚の再現には限界がある
- 高音域・低音域の品質:キャラクターによっては極端な音域で不自然になることがある
- 楽曲の長さ:長いフレーズは分割して生成する必要がある場合がある
主な歌声合成ソフトの比較
| ソフト名 | 価格 | 特徴 | 難易度 |
|---|---|---|---|
| VOICEVOX | 無料 | 手軽・日本語特化・キャラ豊富 | ★☆☆(低) |
| Synthesizer V | 無料〜約12,000円 | 高品質・英語対応・自然な歌声 | ★★☆(中) |
| VOCALOID6 | 約33,000円〜 | 業界標準・多言語対応・安定品質 | ★★★(高) |
| CoeFont | 無料〜月額制 | Web完結・手軽・主にTTS | ★☆☆(低) |
| ACE Studio | 無料〜月額制 | AIベース・高品質・多言語対応 | ★★☆(中) |
無料から始めてみたい方にはVOICEVOX、よりクオリティを上げたい・英語でも歌わせたい方にはSynthesizer Vへのステップアップを検討するのが現実的な流れです。Synthesizer Vには基本機能が無料で使えるエディションがあるため、VOICEVOXと並行して試してみるのもよいでしょう。
VOICEVOXを使いこなすためのDTMスキルアップ術
VOICEVOXは入口として非常に使いやすいツールですが、楽曲として聴けるレベルにするにはDAW操作・ミックス・アレンジの知識が欠かせません。歌声合成はあくまでボーカルパートの素材であり、バックトラック(オケ)の制作やミックスダウンのスキルがあってはじめて「楽曲」として完成します。
具体的に習得しておきたいDAWスキルを整理すると以下の通りです。
- MIDIプログラミング:メロディ・コード・リズムをDAWで打ち込む
- オーディオ編集:VOICEVOXのWAVを読み込み、タイミング・ピッチを調整する
- EQ・コンプレッサーの操作:ボーカルをオケに馴染ませる基本ミックス
- センドリターン(バスルーティング):リバーブ・ディレイを効率よくかける
- マスタリングの基礎:最終的な音量・音質の仕上げ
これらのスキルは独学でも学べますが、間違った癖がついてしまうと後から修正するのが大変です。DTM・作曲講座のような専門的な指導を受けることで、遠回りをせずに実践的なスキルが身につきます。
また、VOICEVOXで作ったボーカルに飽き足らず「自分や友人に歌ってもらいたい」という方向けに、ボーカル講座では発声の基礎から録音・宅録の知識まで幅広く対応しています。DTMと生歌を組み合わせると楽曲の表現幅が大きく広がりますので、ぜひ合わせて検討してみてください。
まとめ:VOICEVOXを活用してDTM制作の幅を広げよう
VOICEVOXは完全無料で使える歌声合成ソフトとして、DTM初心者から中級者まで幅広く活用できるツールです。ここまで解説した内容を簡単に振り返っておきましょう。
- VOICEVOXは無料・対応OS広範・44.1kHz/24bitのWAV出力が可能
- 「Songモード」を使ってピアノロールにノートと歌詞を入力して歌声を生成する
- 歌詞は1ノート1モーラで入力し、「っ」「ん」は最低8分音符以上の長さを確保する
- WAVエクスポートしてDAWで読み込むのが最もシンプルな連携方法
- DAW側でEQ・コンプ・リバーブ・VariAudioを使ってクオリティを高める
- 複数キャラクターを重ねたり、ピッチカーブでビブラートをかけたりする応用も可能
- さらにクオリティを上げたい場合はSynthesizer VやVOCALOID6へのステップアップも検討する
最終的には、VOICEVOXで作ったボーカルをいかに楽曲として成立させるかが重要です。そのためにはDAWの操作スキルと音楽的な知識の両方が必要になってきます。
川口駅徒歩2分のコアミュージックスクールで、DTMを体系的に学ぼう
「VOICEVOXは使えるようになったけど、トラック全体の作り方がわからない」「DAWのミックスをちゃんと学びたい」という方には、コアミュージックスクールのDTMレッスンがおすすめです。JR川口駅から徒歩わずか2分のアクセスしやすい立地で、現役プロ講師によるマンツーマンレッスンを受けることができます。
Cubaseを中心としたDAW操作から、作曲・編曲・ミックスまでを体系的に習得できるDTM・作曲講座は、初心者の方でも無理なく始められるカリキュラム構成になっています。まずは雰囲気を体験してみたいという方には、無料体験レッスンのご利用をおすすめします。実際のレッスン内容を体験してから入会を判断できますので、気軽にお問い合わせください。
歌声合成ツールを使いこなしながら、オリジナル楽曲の完成度を高めていきたい方のご参加をお待ちしています。




