「コードは押さえられるのに、ストロークがうまくいかない」「曲を弾こうとするとリズムがぐちゃぐちゃになってしまう」──ギターを始めた多くの方がこの壁にぶつかります。実はストロークパターンは、いくつかの基本形を覚えてしまえば、大半のポップス・ロック・フォーク曲に応用できます。この記事では、初心者が最初に覚えるべきシンプルなパターンから、中級者向けの応用パターンまで計20種を体系的に紹介します。
まず結論をお伝えすると、「全音符→2分音符→4分音符→8分音符」という順番で習得していくのが最も効率的です。焦って複雑なパターンに手を出すより、テンポ60〜80 BPMでシンプルなパターンを完璧に弾けるようになることが、上達の最短ルートです。以下では各パターンの名称・使いどころ・練習のコツを具体的に解説していきます。
ストロークの基礎知識:なぜパターンを覚える必要があるのか
ギターのストロークとは、ピックまたは指で弦を一気に弾き下ろす(ダウンストローク)、または弾き上げる(アップストローク)動作のことです。ストロークパターンとは、このダウン(↓)とアップ(↑)の組み合わせに、どの拍でミュート(消音)や休符を入れるかを決めた「型」のことを指します。
パターンを覚える最大のメリットは、コード進行に集中できるようになることです。ストロークが手癖になると、左手(コード)と右手(リズム)を独立して操作できるようになり、演奏の完成度が飛躍的に上がります。まずは下記の基本用語を確認しておきましょう。
- ダウンストローク(↓):低音弦から高音弦へ弾き下ろす
- アップストローク(↑):高音弦から低音弦へ弾き上げる
- チョップ(×):弦に触れたまま音を止めるカッティングミュート
- レスト(-):完全な休符(弾かない)
- BPM:1分間の拍数。60 BPMなら1拍が1秒
練習には必ずメトロノームを使ってください。スマートフォンの無料アプリで十分です。推奨練習テンポは最初60 BPM、慣れてきたら80→100 BPMと段階的に上げていきましょう。
初心者向け:まず覚えたい基本ストロークパターン(パターン1〜8)
パターン1:オール・ダウン(全4分音符)
表記:↓ ↓ ↓ ↓(4拍すべてダウン)
使いどころ:コード練習の入口、フォークの伴奏
代表曲:「いつか」レベルのシンプルな弾き語り曲全般
練習テンポ:60〜80 BPM
すべての拍をダウンで弾くだけのパターンです。まずこれで「テンポ通りに弾く感覚」を体に叩き込みましょう。右腕全体を振り子のようにゆったり動かすのがコツです。手首だけで弾こうとすると、速いテンポで疲れやすくなります。
パターン2:2拍ダウン(2分音符)
表記:↓ (休)↓ (休)
使いどころ:スローバラード、賛美歌系
練習テンポ:50〜70 BPM
1拍目と3拍目だけをダウンで弾きます。間の拍で右腕を上に戻す「空振り」動作を意識することで、後続パターンへの橋渡しになります。
パターン3:4分+8分ミックス(基本形)
表記:↓ ↓ ↓↑ ↓↑
使いどころ:Jポップの8ビート伴奏
代表曲:『ひまわりの約束』(秦 基博)などのミドルテンポ曲
練習テンポ:70〜90 BPM
最もよく使われる基本パターンのひとつです。3拍目・4拍目をオルタネイト(↓↑)にすることで自然なグルーヴが生まれます。
パターン4:8ビート基本形
表記:↓↑ ↓↑ ↓↑ ↓↑
使いどころ:ポップス・ロック全般
代表曲:多くのJポップ、海外ポップス
練習テンポ:70〜100 BPM
8分音符8つをすべて弾くパターンです。アップの力を抜いてダウンより軽く弾くと自然なダイナミクスが生まれます。
パターン5:シンコペーション入り8ビート
表記:↓↑ ↓ ↑ ↓↑ ↓↑(2拍目の&(エンド)を強調)
使いどころ:J-POP、アニソン
代表曲:SEKAI NO OWARIやback numberの楽曲に多い
練習テンポ:75〜95 BPM
シンコペーションとは、弱拍や裏拍にアクセントを置く技法です。これを入れると途端に「プロっぽい」サウンドになります。
パターン6:ダウン省略形(アップ強調)
表記:↓ ↑ ー ↑ ↓↑ ー ↑
使いどころ:レゲエ調、オフビート系
代表曲:『島唄』(THE BOOM)のような曲
練習テンポ:65〜85 BPM
3拍目のダウンをなくすことでオフビート感が強まります。最初は「どこを抜くか」わからなくなりがちなので、声に出してカウントしながら練習するのが有効です。
パターン7:カッティングミュート入り
表記:↓× ↓↑ ×↑ ↓↑
使いどころ:ファンク、シティポップ
代表曲:山下達郎の作品群など
練習テンポ:70〜90 BPM
「×」の部分で左手を軽く弦に触れてミュートします。ブラッシングとも呼ばれ、パーカッシブなサウンドが得られます。
パターン8:ウォルツ(3拍子)
表記:↓ ↓↑ ↓↑(3拍子版)
使いどころ:ワルツ曲、一部バラード
代表曲:『カントリーロード』など
練習テンポ:60〜80 BPM
4拍子に慣れてから3拍子に取り組むと混乱しにくいです。1拍目を少し強めに弾くと自然な3拍子感が出ます。
コアミュージックスクール 現役プロ講師(プロ講師)より:
私が実際にレッスンで最もよく見る失敗は、「右手の動きを止めてしまう」ことです。特にパターン3〜5の”抜く”拍で右腕の振り子運動を止めてしまうと、次の拍が遅れたりズレたりします。教本には「弾かない拍でも右腕は動かし続けること」とは書かれていても、実際にどのくらい動かすかは見ていないとわかりません。私はレッスンでよく「右腕はメトロノームのように常に振り続けて、弾く瞬間だけ弦に触れる」と伝えています。この感覚をつかむと、複雑なパターンも一気に弾きやすくなりますよ。
中級者向け:表現の幅を広げるパターン(パターン9〜16)
パターン9:16ビート基本形
表記:↓↑↓↑ ↓↑↓↑ ↓↑↓↑ ↓↑↓↑
使いどころ:ファンク、R&B、ソウル
代表曲:Earth, Wind & Fireの楽曲など
練習テンポ:60〜75 BPM(まず遅いテンポで)
1拍に4つの音符が入る16分音符パターンです。8ビートの倍の密度なので、まず60 BPMから始めて正確性を優先してください。手首の回転(プロネーション・スピネーション)を使って力を分散させると疲れにくくなります。
パターン10:16ビート省略形(ファンク定番)
表記:↓ ↑↓↑ ↓↑↓ ↑↓↑(一部をカット)
使いどころ:シティポップ、AOR系
代表曲:大滝詠一、松任谷由実の楽曲
練習テンポ:65〜80 BPM
16ビートの特定の音符を省略することで、独特のグルーヴが生まれます。省略する箇所を変えるだけで無数のバリエーションが作れます。
パターン11:タイアリズム(ダウンを引き伸ばす)
表記:↓- ↑ ↓↑ ↓- ↑(1拍目ダウンにタイを付ける)
使いどころ:ロック、パンク
代表曲:GREEN DAYなどのパンクロック曲
練習テンポ:80〜110 BPM
タイとは異なる拍をつなぐ記号で、音を伸ばします。パンクっぽい切れ味はこのパターンから生まれることが多いです。
パターン12:アルペジオ+ストロークミックス
表記:(単音)→↓↑↓↑(小節後半でストローク)
使いどころ:バラード、弾き語り
代表曲:『栄光の架橋』(ゆず)などのバラード系
練習テンポ:55〜75 BPM
前半をアルペジオ(単音弾き)、後半をストロークにすることで表情豊かな伴奏になります。Aメロ→サビでの使い分けにも効果的です。
パターン13:スウィングリズム
表記:↓(長)↑(短)のシャッフル感
使いどころ:ブルース、カントリー、ジャズ
代表曲:12小節ブルース全般
練習テンポ:70〜90 BPM
スウィングは8分音符を「長・短」の比率(おおよそ2:1)で弾く奏法です。メトロノームを「シャッフル設定」にして練習するとイメージしやすいです。
パターン14:ボサノバパターン
表記:低音弦↓ → 高音弦↑↓↑ → 低音弦↓ → ↑(ブラジル風)
使いどころ:ボサノバ、カフェ系音楽
代表曲:『イパネマの娘』(Astrud Gilberto)
練習テンポ:65〜80 BPM
ボサノバは低音弦と高音弦を交互に鳴らすことでパーカッシブな効果を出します。親指と人差し指・中指を使った指弾きバージョンも非常に有効です。
パターン15:ダブルストローク(1拍2連)
表記:↓↓ ↓↓ ↑↑ ↓↓(素早く2回ずつ弾く)
使いどころ:フラメンコ、スパニッシュ系
代表曲:スパニッシュギター全般
練習テンポ:50〜70 BPM
同じ方向に素早く2回弾くことで連打感が出ます。力を入れすぎずリラックスした手首が鍵です。
パターン16:チャカポコリズム(レゲエ定番)
表記:(休)↑(休)↑ (2拍目・4拍目アップのみ)
使いどころ:レゲエ、スカ
代表曲:Bob Marleyの楽曲群
練習テンポ:70〜85 BPM
1拍目と3拍目を完全に休符にし、2・4拍目のアップだけを鳴らします。最初は「弾かない拍」で腕が止まりがちなので注意してください。
上級者・応用向けパターン(パターン17〜20)+まとめ比較表
パターン17:ヘミオラ(3対2のクロスリズム)
表記:4拍子の中に3拍子のグループを重ねる
使いどころ:ラテン、プログレッシブロック
代表曲:Santanaの楽曲など
練習テンポ:60〜75 BPM
ヘミオラは2つの異なる拍子感を同時に演奏するポリリズム技法です。理解するには「1小節を6等分する」感覚が重要です。
パターン18:フラメンコのラスゲアード
表記:指を順番に弾く連続ストローク(a→m→i→p)
使いどころ:フラメンコ、クラシック系
代表曲:フラメンコ全般
練習テンポ:40〜60 BPM(超スローから)
薬指(a)→中指(m)→人差し指(i)→親指(p)の順で連続して弦を弾きおろす奏法です。マスターすれば圧倒的なダイナミクスが得られます。
パターン19:パーカッシブストローク(ボディヒット併用)
表記:↓ × (ボディ打) ↑ × の組み合わせ
使いどころ:弾き語り、ソロギター
代表曲:押尾コータローの楽曲、Ed Sheeranスタイル
練習テンポ:55〜70 BPM
ストロークの途中でギターのボディを叩いてパーカッション音を加えます。アコースティックギターのソロパフォーマンスで非常に効果的な奏法です。
パターン20:ハイブリッドピッキング+ストロークミックス
表記:低音弦を親指でピック、高音弦を指でストローク
使いどころ:カントリー、ブルーグラス
代表曲:カントリーギター全般
練習テンポ:60〜80 BPM
ピックを持ちながら中指・薬指で高音弦を弾くハイブリッドピッキングにストロークを組み合わせます。テクニカルですが、習得すると表現の幅が大きく広がります。
ストロークパターン難易度・用途比較表
| パターン番号 | 名称 | 難易度 | 推奨BPM | 主な用途 |
|---|---|---|---|---|
| 1〜2 | オール・ダウン/2拍ダウン | ★☆☆☆☆ | 60〜80 | 練習入口・スローバラード |
| 3〜4 | 4分+8分/8ビート基本 | ★★☆☆☆ | 70〜100 | Jポップ・ポップス全般 |
| 5〜6 | シンコペーション/アップ強調 | ★★★☆☆ | 65〜95 | Jポップ・レゲエ調 |
| 7〜8 | カッティング/ウォルツ | ★★★☆☆ | 60〜90 | ファンク・ワルツ曲 |
| 9〜10 | 16ビート系 | ★★★★☆ | 60〜80 | ファンク・シティポップ |
| 11〜13 | タイ/アルペジオMix/スウィング | ★★★★☆ | 55〜110 | ロック・バラード・ブルース |
| 14〜16 | ボサノバ/ダブル/レゲエ | ★★★★☆ | 50〜85 | ラテン・スカ・レゲエ |
| 17〜20 | 応用・ジャンル特化系 | ★★★★★ | 40〜80 | フラメンコ・カントリー等 |
コアミュージックスクール 現役プロ講師(プロ講師)より:
私が現場でよく指摘するのは、「速く弾けることよりも、遅くても正確に弾けることの方が大切」という点です。レッスンで生徒さんに16ビートパターンを課題にすると、焦って100 BPMで弾こうとする方が多いのですが、60 BPMでもリズムがヨレていては意味がありません。私自身、ステージ本番前は必ず60 BPMで各パターンを確認します。これは音楽学校では教えてくれない「プロが実際にやっているルーティン」です。基礎を丁寧に積み上げるほど、後から速度は自然についてきますよ。
ストロークが上達するための練習メソッドと注意点
練習時間の目安と進め方
ストロークパターンの習得に必要な練習時間の目安は以下の通りです(個人差あり)。
- パターン1〜4(入門):各パターン1日15分×1〜2週間で安定
- パターン5〜8(初級後半):各パターン1日20分×2〜3週間
- パターン9〜13(中級):各パターン1日20〜30分×1〜2ヶ月
- パターン14〜20(上級):継続的な練習が必要(数ヶ月〜)
毎日の練習は30分でも十分です。短時間でも毎日継続することが、週1回の長時間練習より効果的であることは、多くの演奏家が実感していることです。
よくある失敗と対策
- 右腕を止めてしまう:弾かない拍でも腕は動かし続ける
- 力みすぎる:肩・肘・手首のリラックスを意識する。力が入るとピックが引っかかりやすくなる
- メトロノームなしで練習する:自己流のテンポ感は意外とズレている。必ずメトロノームと合わせる
- いきなり速く弾こうとする:60 BPMで完璧に弾けないパターンは、100 BPMでも弾けない
- 一度に多くのパターンを練習しようとする:1週間に1〜2パターンに絞った方が定着しやすい
使用機材について
ストローク練習に必要な機材は最小限で構いません。アコースティックギターであればそのまま練習できます。エレキギターの場合はアンプを通すことで自分のストロークの強弱(ダイナミクス)がより明確に聞こえ、課題発見に役立ちます。ピックは厚さ0.75〜1.0mmのミディアム〜ハードを推奨します。薄いピック(0.46mm以下)は8ビート以上の速いストロークで音がぼやけやすくなります。
なお、ストロークパターンの練習と並行してDTMや作曲に興味がある方は、コアミュージックスクールのDTM・作曲講座も活用すると、リズム理論を体系的に学ぶことができます。
ジャンル別おすすめストロークパターン早見表
どの曲にどのパターンを使えばいいか迷ったときのために、ジャンル別のおすすめをまとめました。
| ジャンル | おすすめパターン | キーワード |
|---|---|---|
| Jポップ(ミドル) | パターン3、4、5 | 8ビート、シンコペーション |
| Jポップ(バラード) | パターン2、12 | アルペジオMix、スロー |
| ロック・パンク | パターン4、11 | タイ、ダウン連打 |
| ファンク・R&B | パターン7、9、10 | 16ビート、カッティング |
| レゲエ・スカ | パターン6、16 | オフビート、チャカポコ |
| ブルース・カントリー | パターン13、20 | スウィング、ハイブリッド |
| ボサノバ・ラテン | パターン14、17 | 指弾き、ポリリズム |
| フラメンコ | パターン15、18 | ラスゲアード、ダブル |
ボーカルと同時に演奏する弾き語りをされている方は、まずJポップ系の8ビート(パターン3〜5)を完全に手癖にすることをおすすめします。ストロークに意識を取られない状態になって初めて、歌に集中できるようになります。弾き語りの上達についてはコアミュージックスクールのボーカル講座と組み合わせることで、歌とギターの両方を効率よく伸ばすことができます。
まとめ:パターン習得のロードマップ
今回紹介したストロークパターン20選の習得順序をまとめると、以下のロードマップが効率的です。
- STEP 1(1〜2週間):パターン1〜4をテンポ60 BPMで安定させる
- STEP 2(2〜4週間):パターン5〜8を加え、好きな曲に当てはめてみる
- STEP 3(1〜3ヶ月):パターン9〜13で表現の幅を広げる
- STEP 4(3ヶ月〜):パターン14〜20で弾きたいジャンルに特化する
ストロークパターンは「知っている」と「弾ける」の間に大きな差があります。動画を見ただけ・楽譜を読んだだけでは身につかないのがリズム練習の難しいところです。ここで重要なのは、正しい動作を最初から身につけることです。一度身についた悪い癖を修正するのは、最初から正しく習うより何倍も時間がかかります。
独学で行き詰まりを感じている方、基礎から体系的に学び直したい方には、講師と一緒に練習することが最も確実な近道です。コアミュージックスクールでは、現役プロ講師によるマンツーマンレッスンを提供しており、あなたの演奏をその場で確認しながら的確なフィードバックを受けることができます。
川口駅徒歩2分・無料体験レッスンのご案内
コアミュージックスクールは、JR川口駅から徒歩わずか2分の場所にある音楽教室です。ギター講座では、今回紹介したストロークパターンをはじめ、コード理論・アドリブ・弾き語りまで、現役プロ講師がマンツーマンで丁寧に指導します。
「楽器を買ったけど独学で限界を感じている」「昔習っていたが再開したい」「弾き語りで歌いたい曲がある」など、どんな目標・レベルの方でも歓迎しています。まずは気軽に無料体験レッスンをお試しください。実際に講師と対面で30〜45分のレッスンを体験することで、自分の課題と上達の道筋が明確になります。
▶ 無料体験レッスンのお申し込みはこちら(コアミュージックスクール公式サイト)
ストロークパターンを「知っている」から「弾ける」に変えるお手伝いを、川口の現役プロ講師一同でお待ちしております。




