気持ちよく歌い終えたあと、コメント欄にこう書かれている。「さっきから変な電子音が鳴ってます」「メロディの音が邪魔で歌が聞こえません」。
カラーシング(ColorSing)で歌っている本人には、まったく普通に聞こえています。いつもどおりの音量で、いつもどおりのガイド音。それがリスナー側だけ違って届いている。この状況は、原因を知らないとまず自力では気づけません。
先に結論をお伝えします。ガイド音がリスナーに聞こえてしまう原因は、ほぼひとつです。オーディオインターフェース(AG03などのミキサー)を経由して配信していることです。 機材を外して有線イヤホンをiPhoneに直挿しすれば、ガイド音は自分だけに聞こえる状態に戻ります。機材を使い続けたいなら、カラオケリモコンパネルの「ガイド音量」を下げるしかありません。
この記事では、なぜそうなるのかを音の通り道から説明し、直し方を手順で整理します。そのうえで、講師の立場から「ガイド音を下げても歌えるようになる」ための考え方もお伝えします。
この記事は、コアミュージックスクールのボーカル講師・奥津ユキ(ボーカル/ピアノ/サックス/フルート/DTM)の監修のもと作成しています。
そもそもガイド音とは何か
ガイド音は、カラオケでメロディの音程をなぞってくれる音のことです。歌詞画面の右上「・・・」から開くカラオケリモコンパネルに、「ガイド音量」という項目があり、ここで大きさを変えられます。
カラオケリモコンパネルには、ほかにも次の項目が並んでいます。
- BGM音量
- ボーカル音量
- 自分の声の返し
- ガイド音量
- エコー
- 自分だけBGM音量かさ増し
- キー
- その他詳細設定
- 最初から歌いなおす/カラオケを終了
ここで大前提としてひとつ。カラオケリモコンパネルの設定をLシンガーが変えると、リスナー側にも反映されます。 自分の手元だけの調整ではない、という感覚を持っておいてください。
なぜ普通は「自分だけ」に聞こえるのか
有線イヤホンをiPhoneに直接挿している標準的な構成では、音の通り道はこうなっています。
- リスナーに届く音=カラオケBGM + あなたの声
- あなたのイヤホンに返る音=カラオケBGM + あなたの声 + ガイド音
ガイド音は、アプリの中で「歌う本人の耳にだけ返す音」として扱われています。だから、いくら上げても配信には乗りません。これが本来の姿です。
必要な機材や始め方を、始める前に確認できる窓口があります。 質問できる内容と、連絡後の流れを見る →
機材を通すと、この前提が崩れる
ここが本題です。カラーシング公式FAQには、オーディオインターフェースを使う場合の注意として、オーディオインターフェース経由でアプリの音を入力すると、ガイド音量を上げたぶんがそのままリスナーにも聞こえてしまうことが明記されています。
理屈はシンプルです。オーディオインターフェースを挟むと、アプリから出てきた音(BGMもガイド音も一緒くた)が、いったん機材の中に入り、そこであなたの声とミックスされて、また配信へ戻っていきます。アプリの側は「これは本人だけに返す音」「これは配信に乗せる音」と区別していたのに、機材の中で一本にまとめられてしまうわけです。
整理すると、こうなります。
| 構成 | ガイド音は誰に聞こえるか |
|---|---|
| 有線イヤホンをiPhoneに直挿し | 自分だけ |
| オーディオインターフェース(AG03など)経由 | 自分+リスナー |
つまり「昨日までは何も言われなかったのに」というケースの多くは、機材を導入したタイミングと一致します。心当たりがあれば、まずそこを疑ってください。
直し方|上から順に試してください
| 順番 | やること | 向いている人 |
|---|---|---|
| 1 | 機材を外し、有線イヤホンをiPhoneに直挿しに戻す | 確実に直したい人。いちばん速い |
| 2 | カラオケリモコンパネルのガイド音量を下げる(必要なら0まで) | 機材を使い続けたい人 |
| 3 | アプリ側の音量設定が低すぎないか確認する | ガイド音以外も聞こえにくい人 |
| 4 | ボーカル音量が0になっていないか確認する | 声そのものが届いていない人 |
3番目について補足します。公式FAQには、アプリからの音量設定が低いとガイド音だけでなくBGMや自分の声の返しも聞こえなくなると書かれています。「ガイド音が大きい」と感じてガイド音量だけを触っていると、実はアプリ全体の出力が下がっていた、ということがあります。
4番目は、ガイド音の問題とセットで起きやすい落とし穴です。ボーカル音量が0だと、自分のイヤホンには声が聞こえていても、リスナーには声が届いていません。 「ガイド音は聞こえるのに歌が聞こえない」という状態は、ここが原因のことがあります。
なお、AG03を使っている方は、公式が推奨している組み合わせも合わせて確認してください。AG03側のモニターミュートを押す + アプリ側の「自分の声の返し」をオン、です。詳しい接続はカラーシングの機材とミキサー(AG03)の接続と設定で解説しています。
「機材を外す」と「ガイド音量を下げる」、どちらを選ぶべきか
手順表の1番と2番は、どちらも正解です。ただ、選ぶ基準ははっきりしています。
| あなたの状況 | おすすめ | 理由 |
|---|---|---|
| 機材を買ったばかりで、まだ使いこなせていない | いったん外す | 問題の切り分けが先。外して直れば原因が確定する |
| 歌のみ(弾き語りをしない) | 外す | そもそも機材が要る場面が少ない |
| 弾き語りをする/入力が2系統以上必要 | ガイド音量を下げる | 機材を外す選択肢がない |
| 声量が大きく、サビで音が割れる | ガイド音量を下げる | ゲイン調整のために機材が要る |
| 雑談中にBGMや効果音を流したい | ガイド音量を下げる | ミキサー機能が必要 |
そもそもオーディオインターフェースは、公式FAQのどこにも「必須」とは書かれていません。公式が明確に推奨しているのは、PCを使うOBS配信の場合だけです。オーディオインターフェースが本当にいる人・いらない人で条件を整理していますので、導入を迷っている段階の方はそちらを先に読んでください。
講師の視点|ガイド音は「松葉杖」です
ここからが、機材の話ではなく声の話です。
ガイド音を大きくしないと歌えない、という方はとても多いです。恥ずかしいことではありません。ただ、その状態がどういうことかは知っておいてほしいと思います。
ガイド音に頼って歌っているとき、あなたは「聞こえた音を追いかけて」います。 ガイド音が鳴る、それを耳が捉える、そのあとに自分の声を合わせる。つまり、常にほんの少し遅れています。この遅れは、リズムの甘さや、音程が下から掬い上がる癖として、リスナーの耳には届きます。
反対に、ガイド音なしで歌えている人は、音を出す前に、頭の中で次の音が鳴っています。 追いかけるのではなく、先に決めている。同じ人が同じ曲を歌っても、この違いだけで印象がはっきり変わります。
ガイド音量を段階的に下げる練習
いきなり0にすると歌えなくなるので、レパートリーを絞って少しずつ減らします。
- 1曲だけ「練習曲」を決める。毎回の配信で歌う定番を1曲つくります
- その曲だけガイド音量を少し下げる。他の曲は今までどおりで構いません
- 歌えなくなる場所を覚える。だいたい決まった数か所です。サビ頭の跳躍、Bメロの半音の動き、といった具合に必ず癖があります
- その場所だけ、配信外で原曲を聴き直す。全体を練習する必要はありません
- 次の配信でもう一段下げる
この方法の利点は、配信を止めずに練習になることです。歌配信は、練習の時間と本番の時間を分けにくいのが難しいところですが、1曲だけ実験台をつくれば両立できます。
下げるのは「歌い出し」だけでいい、という考え方もあります
もうひとつ現実的なやり方があります。ガイド音に本当に頼っているのは、曲全体ではなく歌い出しの1音目だというケースがとても多いのです。
イントロが終わって最初の音を出す瞬間、拠り所がないと不安になる。しかし歌い出してしまえば、あとはメロディの流れに乗れる。もしこのタイプなら、曲全体のガイド音量を上げておく必要はありません。
対策は、イントロのあいだにBGMのなかの「自分の1音目と同じ高さの音」を探しておくことです。たいていの曲は、イントロでサビや歌い出しのメロディをなぞっています。そこを聴いて、心の中で1音目を鳴らしてから口を開く。これができるようになると、ガイド音量は一気に下げられます。
もうひとつ。キーが合っていない可能性も疑ってください
「ガイド音がないと不安」と言う方の一定数は、実はキーが合っていません。原曲キーが自分の声域から外れていると、体が音を予測できず、耳で確認しないと出せなくなります。
カラオケリモコンパネルにはキーの項目があります。ガイド音量を触る前に、まずキーを1〜2上げ下げして歌ってみてください。急に楽に歌えるようになる場合、問題はガイド音ではなくキー設定です。
自分に合うキーが分からない、という方はコアミュで相談していただいても構いません。声を聴かせていただければ、目安をお伝えできます。
「リスナーに変な音が聞こえる」ときの切り分け表
ガイド音以外にも、似たコメントがつく原因があります。まとめて確認できるようにしておきます。
| コメントの内容 | 疑うところ |
|---|---|
| 「変な電子音/メロディの音がする」 | ガイド音量+機材経由になっていないか |
| 「歌が聞こえない・BGMだけ」 | ボーカル音量が0 |
| 「BGMが大きすぎる」 | BGM音量。「自分だけBGM音量かさ増し」と混同していないか |
| 「声が機械っぽい/こもる」 | ノイズキャンセリング(初期状態でオン) |
| 「歌とBGMがズレている」 | Bluetoothイヤホンを使っていないか |
最後の行は特に重要です。カラーシングはBluetoothイヤホンをサポートしていません。公式の選曲時のダイアログにも「Bluetoothイヤホンの場合、歌とBGMに大きくズレが生じます。マイク付きの有線イヤホンを接続してください」と表示されます。理由は音質ではなく遅延(歌とBGMのズレ)です。詳しくはカラーシングで使えるイヤホンをご覧ください。
よくある質問
Q. ガイド音量を0にすると、何かデメリットはありますか?
A. 配信の機能面でのデメリットはありません。あくまで自分の耳に返る補助音なので、0にしても歌唱そのものやダイヤの獲得には影響しません。デメリットは「歌いにくくなる」ことだけです。
Q. 機材を使わないと決めれば、ガイド音は絶対に漏れませんか?
A. 有線イヤホンを直接iPhoneに挿す構成であれば、ガイド音は自分だけに返る仕様です。ただし、イヤホンマイクやスピーカー、ミキサー等のアクセサリー起因の不具合は、公式のサポート対象外と明記されています。動作確認済みとされている製品でも「動作を保証するものではない」とされていますので、環境ごとの確認は必要です。
Q. 「その他詳細設定」が見つかりません
A. イヤホンを接続していないと表示されません。 BGM音量かさ増しとノイズキャンセリングはこの中にあるため、イヤホン未接続だと触れません。「自分だけBGM音量かさ増し」も、イヤホン未接続だと自動的にオフになります。
Q. 途中で気づいたら、曲を止めてやり直すべきですか?
A. できれば止めずに、その曲が終わってから設定を直すことをおすすめします。カラオケを途中で終了すると、1曲あたりのダイヤ獲得権の消費数が少なくなる可能性があると公式に案内されています。1曲ぶんの違和感より、獲得のほうを優先して構いません。
Q. ガイド音の音量の「正解の数値」はありますか?
A. 公式FAQに音量の設定例は画像で掲載されていますが、推奨値としての数値は示されていません。最新の条件は公式FAQでご確認ください。実務的には「歌えるいちばん小さい音量」を毎回の目標にするのが健全です。
カラオケリモコンの各音量を見直す際は、カラーシングのエコー設定はどう使う?かけすぎないための考え方でエコーの役割も確認できます。
音の経路を確認しても声が届かない場合は、カラーシングで自分の声が聞こえない・リスナーに届かないときの確認の切り分け手順も確認してください。
まとめ
- ガイド音がリスナーに聞こえる主因はオーディオインターフェース経由の構成。有線イヤホン直挿しに戻せば解決する
- 機材を使い続けるなら、ガイド音量を下げるのが唯一の対処になる
- カラオケリモコンパネルの設定はリスナー側にも反映される。手元だけの調整ではない
- 「歌が届かない」ときはボーカル音量0を疑う。ガイド音の問題とよく同時に起きる
- ガイド音は松葉杖。1曲だけ実験台を決めて、段階的に下げるのが現実的
- 「ガイド音がないと不安」の正体がキー設定のこともある。先にキーを疑う
音の設定でつまずくのは、歌の実力とはまったく別の話です。ここで消耗せずに、歌う時間を増やしてください。設定まわりの相談はコアミュでも受け付けています。
監修
奥津ユキ(コアミュージックスクール講師)
ボーカル・ピアノ・サックス・フルート・DTM(Logic)を担当。



