DTMで曲を作っていると、いつか「ボーカルのいる曲を作りたい」という欲望が生まれてきます。インスト曲とは違い、歌モノには「ボーカルを主役にする」という設計が必要です。この記事では、ボーカル曲(歌もの)の作曲から編曲までのプロセスを、順を追って解説します。
まず「歌いやすいメロディ」を意識する
歌モノのメロディは、演奏者(ボーカリスト)が存在することを前提に作る必要があります。DTMで打ち込む場合、MIDIで何でも音が出てしまうため、「人間が歌えない音域」や「息継ぎができないフレーズ」を作ってしまいがちです。
チェックすべきポイント:
- 音域:女性ボーカルならおおよそE3〜E5、男性ならC3〜C5が無理のない音域目安
- 息継ぎ:4〜8拍に一度は息継ぎできる箇所を作る
- 跳躍:1オクターブ以上の跳躍は歌いにくい。使うなら意図的に、効果的な場所で
自分でメロディを口ずさんでみて、「歌いながら苦しくないか」を確認するのが一番手っ取り早いです。
歌詞のリズムとメロディの関係
日本語の歌詞には「日本語のリズム」があります。英語と違い、日本語は基本的に1文字1音節(モーラ)なので、メロディの音符の数と歌詞の文字数が合う必要があります。
歌詞先行で作る場合:歌詞の文字数に合わせてメロディを作る。セリフを自然に読んだときのリズムをそのままメロディのリズムにするとうまく合いやすいです。
メロディ先行で作る場合:メロディのリズム(音符の数)に合わせて歌詞を当てはめる。「タタタ・タタ・タ」というリズムのところには「今日も・晴れ・た」のように音節数を合わせる。
ボーカルを活かすアレンジの考え方
歌モノのアレンジの大原則は「ボーカルの邪魔をしない」ことです。
具体的には:
- ボーカルが歌っている音域に、他の楽器の音が密集しすぎない(特に中音域)
- ボーカルのメロディと同じ音程・リズムで別の楽器が動き続けない(ユニゾンが続くとボーカルが埋もれる)
- ボーカルが歌っていないセクション(間奏・アウトロ)に器楽的な見せ場を作る
EQでいうと、ボーカルは2kHz〜5kHzあたりが存在感のある帯域です。ここをギターやシンセが埋め尽くしていると、ボーカルが埋もれます。他の楽器はEQでこの帯域を少しカットして、ボーカルのための「席」を作るイメージです。
歌もの制作のフローまとめ
実際の流れとしては以下が一般的です。
- コード進行とキーを決める
- 仮歌(ラフなメロディ)を口ずさみながら録音or打ち込む
- Aメロ・Bメロ・サビの構成を決める
- 歌詞を乗せる(先に書いてあれば当てはめる)
- ドラム・ベース・コード楽器でバッキングトラックを作る
- アレンジを加えて厚みを作る(ストリングス、シンセ等)
- ボーカルを録音or vocaloid/合成音声で打ち込む
- ミックスしてボーカルを整える
歌モノ制作は工程が多いですが、順番を守れば迷子になりにくい。まずはシンプルな16小節のAメロを完成させることから始めてみてください。
ボーカル曲のアレンジは奥が深く、独学だけではなかなかコツがつかめない部分もあります。コアミュージックスクールのDTMコースでは、プロの視点で歌もの制作の考え方を学ぶことができます。



