「DTMを始めたいけど、音楽理論ってちゃんとやらないとダメですか?」——これは本当によく聞かれる質問です。結論から言うと、「全部覚える必要はないけど、最低限は知っておいたほうが断然楽になる」です。
コアミュージックスクールのDTM講師・古賀稔宏先生(アンパンマン映画主題歌、Do As Infinityなど楽曲制作)の視点を交えながら、音楽理論の「必要なもの」と「後回しでいいもの」を整理します。
音楽理論なしでできること
正直に言うと、音楽理論がゼロでも「なんとなく曲っぽいもの」は作れます。特にCubaseには「コードパッド」という機能があって、理論を知らなくてもボタン一つでコードを鳴らせます。Ableton Liveにも似た機能があります。
YouTube動画の「この4コードをコピーしてください」をそのまま使って曲を作ることも可能。実際、最初の1〜2曲目はそれで十分だと思います。
「理論なんて知らなくても感性で作れる」という意見もわかります。初音ミクが出たころ、理論を知らないボカロPが名曲を連発していたのは事実ですし。
でも、理論を知ると「詰まらなくなる」
問題は、理論なしだと「なぜその選択をするのか」がわからないまま作業することになる点です。
たとえば、コードを選ぶとき。「なんかこのコードの流れ、気持ち悪い」と感じても、なぜ気持ち悪いのかわからない。すると、試行錯誤はできても再現性がない。「前はうまくいったのに今回はうまくいかない」を繰り返します。
古賀先生曰く「コード理論の基礎だけ知っておくと、引き出しが一気に広がる」とのこと。具体的には:
- スケール(音の並び方)の基本
- ダイアトニックコード(スケール内で作れるコードの7種類)
- コード進行の基本パターン(カノン、4625など)
これだけ知っていると、「なぜこのコードが気持ちいいのか」「次はどのコードに進めるか」の選択肢が一気に増えます。
後回しでいい音楽理論
逆に、最初から全部やらなくていいものもあります:
- 転調の理論(作り込んだ楽曲には必要だが、最初の曲には不要)
- ジャズ理論・モーダルインターチェンジ(中級以上)
- 楽典(音符の長さ・記号の読み方)(DTMなら目で見ながら覚えられる)
- 対位法・声部進行の厳格なルール(クラシック志向でなければ後回しOK)
音楽理論の本を1冊全部読んでから制作を始めようとする人がいますが、それはおすすめしません。「作りながら必要になったところを調べる」スタイルが最も効率的です。
CubaseのコードパッドとAIで理論の壁を下げる
2026年現在、Cubaseのコードパッドは本当によくできています。スケールを設定すると、外れた音を自動で補正してくれる機能や、コード進行の提案機能もあります。
「理論がわからなくてもとりあえず曲が作れる」環境が整っているのは事実です。ただ、コードパッドで出てきたコード進行が「なぜ良いのか」を理解できると、応用が効くようになります。
答えをまとめると:「最低限のコード理論だけ先に覚えて、あとは作りながら必要に応じて学ぶ」が最も現実的で効率的なやり方です。
コアミュージックスクールでは現在、古賀先生による「はじめてのDTM作曲」コースを準備中です。「必要な理論を必要なときに・作りながら覚える」というアプローチで設計しています。理論に苦手意識がある方にこそ向いているコースです。



